いちご育苗の肥料はいつまで?丹羽いちご園が8月下旬に液肥を止める理由

いちご育苗の肥料。液肥は8月下旬で止める。液肥・花芽分化・葉面散布の3つのポイント

いちごの育苗中、肥料はいつまでやればいいのか。定植までずっと与え続けていいのか、どこかで止めるのか。迷いやすいところです。

丹羽いちご園では8月下旬を目安に液肥を止めています。カレンダーで時期を決めて切る形で、苗の様子を見ながらその都度判断する運用にはしていません。

止める理由は1つで、肥料が残っていると花芽分化が遅れるからです。分化が遅れれば収穫の始まりも遅れます。ここが育苗後半でいちばん怖いところです。

この記事でわかること

  • 丹羽いちご園が液肥を8月下旬で止める理由
  • 止めるものと続けるものの切り分け
  • 肥料を切りすぎたときに起きること
目次

8月下旬に液肥を止める

育苗期の追肥は、灌水と一緒に液肥を流す方法と、葉面散布の2本立てでやっています。

このうち液肥のほうを8月下旬で止めます。日付をきっちり決めているわけではありませんが、8月下旬という時期そのものを基準にしています。

苗の状態を見て「この株はまだ足す」と個別に判断する形はとっていません。育苗している苗の本数を考えると、株ごとに見て回るのは現実的ではないためです。

いちご育苗後半の管理スケジュール図。8月下旬に液肥を止め、葉面散布は続け、その後に花芽分化、9月以降に定植という流れを時系列で示している

※育苗後半の流れを示したイメージ図です。液肥を止めた後も葉面散布は続け、花芽分化を待って定植に入ります。

止める理由は花芽分化の遅れ

いちごの花芽分化は、いくつかの条件が重なって進みます。一般的に、低温・短日・体内の窒素が少ない状態の3つが必要とされています。

逆に言えば、窒素が多いままだと分化が進みにくくなります。「窒素濃度が高いままだと花芽分化が起こりにくくなる」と説明されており、窒素の吸収が減って体内の濃度が下がると、株が栄養成長から生殖成長へ傾くという整理です(セイコーエコロジア「いちごの花芽分化とは?」)。

つまり肥料を切るのは、株を弱らせるためではなく花芽をつくるスイッチが入る状態にするためです。

この「窒素の中断」は個々の農家の思いつきではなく、公的機関でも試験されている技術です。栃木県には「いちごのポット育苗における窒素の打ち切り時期」という試験成果があり、ポット育苗では窒素の中断によって花芽分化を促進する技術として扱われています(栃木県農業試験場・試験成果情報)。

止めるのは液肥、葉面散布は続ける

肥料を止めると言っても、作業を全部やめるわけではありません。液肥は止めますが、葉面散布は続けます

この2つは役割が違います。液肥は培地に入って根から吸われ、株の窒素レベルに効いてきます。葉面散布はそれとは別の目的で回している作業なので、液肥を切った後も止めません。

作業 8月下旬以降の扱い
灌水と一緒の液肥 止める。花芽分化を待つため
葉面散布 続ける。液肥とは目的が違うため
灌水そのもの 続ける。肥料を止めても水は必要

「肥料を止める」と聞くと水も控えるのかと思われがちですが、水は別の話です。高温期に水を切れば苗が傷みます。高温年に培地やクラウンの温度を下げたいときの考え方は「いちごの花芽分化を促す夜明け前灌水のやり方」にまとめています。

早期定植した分も同じタイミングで切る

丹羽いちご園では、よつぼしとベリーポップすずを早期定植しています。この早期定植した分と、育苗を続けている分で、液肥を止めるタイミングは分けていません。すべて同じ時期に切ります。

棟や品種ごとに時期をずらすと、どの苗にいつまで肥料を入れたのか分からなくなります。花芽分化の遅れは後から取り返せないので、そこを曖昧にしないほうが安全だと考えています。

早期定植で実際に起きたことは「いちごの定植後に根が露出したら?早期定植2週間で起きたことと丹羽いちご園の対処」に書きました。

切りすぎるとどうなるか

肥料を止める作業には逆方向のリスクもあります。早く切りすぎたり長く切りすぎたりすると、苗が充実しないまま定植を迎えます

花芽分化は窒素だけで決まるものではなく、苗そのものの充実も条件に入ります。小さい苗を早く分化させても、その後の生育がついてきません。

だからこそ「8月下旬」という時期を基準にしています。早すぎず、分化に間に合う位置に置いた線引きです。

育苗後半の肥料でつまずきやすい点

  • 定植まで液肥を入れ続け、花芽分化が遅れる
  • 逆に早く切りすぎて、苗が小さいまま定植になる
  • 肥料を止めるつもりで水も控え、高温期に苗を傷める
  • 粒状の置き肥は後から効き続けるため、止めたつもりでも効いている

最後の点は家庭菜園で起きやすいところです。液肥なら与えるのをやめれば止まりますが、粒状の置き肥は土に残って効き続けます。夏の後半に置き肥を足すと、止めたい時期に窒素が効いてしまいます。

苗の状態も合わせて見る

時期で切ると決めていても、苗そのものの状態は見ます。葉が大きく茂って濃い緑になっているなら肥料が効いている状態です。

育苗中の葉の整理をどう判断しているかは「いちご育苗の全刈りはあり?新葉を残す葉かき判断」、定植して大丈夫かの見極めは「いちごの苗、定植OKの見極め方|本葉の枚数より根とクラウンをチェック」でまとめています。

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液肥なら与える時期を区切れる

水に薄めて使う液体肥料です。粒状の置き肥と違って与えるのをやめれば効きが止まるため、夏の後半で切りたいときは扱いやすくなります。使うのは切る時期までと決めて回してください。

液体肥料の仕様を見てみる

よくある質問

Q. いちご育苗の肥料はいつまでやればいいですか?

丹羽いちご園では8月下旬を目安に液肥を止めています。肥料が残っていると花芽分化が遅れるためです。

Q. 肥料を止めるのは苗の状態を見て決めますか?

時期で決めています。株ごとに見て判断する形はとっていません。ただし葉の茂り方や色は合わせて確認します。

Q. 葉面散布も止めますか?

止めません。液肥とは目的が違う作業なので、液肥を切った後も続けています。

Q. 肥料を止めたら水も控えますか?

控えません。水は別の話です。高温期に水を切ると苗が傷みます。

Q. 早く切りすぎるとどうなりますか?

苗が充実しないまま定植を迎えることになります。花芽分化は窒素だけでなく苗の充実も条件になるため、早ければ早いほどよいわけではありません。

Q. 家庭菜園のプランターでも同じ考え方でいいですか?

夏の後半に肥料を足し続けないという点は同じです。粒状の置き肥は与えるのをやめても土に残って効き続けるため、夏の終わりに追加しないほうが無難です。

この記事はAI(Claude)の支援で作成し、農家本人(丹羽)が内容を確認・監修しています。

いちご育苗の肥料。液肥は8月下旬で止める。液肥・花芽分化・葉面散布の3つのポイント

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