いちごの親株は何年使える?古い株から苗を取るリスクを農家が解説

いちごの親株は何年使えるかのアイキャッチ

いちごの親株は何年使えるのか。結論からお伝えすると、苗を取るための親株は「基本1年で更新」がおすすめです。株自体は2年目、3年目も生きますが、古い親株から苗を取り続けると、病気の持ち越しや苗の質の低下が起きやすくなります。

私は埼玉県吉見町で、いちご狩りと直売を中心に7年いちごを育てている農家です。この記事では、親株を使い回すと何が起きるのか、使ってよい親株と処分したほうがよい親株の見分け方、そして7月の育苗期に見ておきたいチェックポイントを、農家の実体験からお伝えします。

目次

いちごの親株は何年使える?結論は「基本1年更新」

いちごは多年草なので、植えっぱなしでも株は何年も生き続けます。ただ、「株が生きていること」と「苗を取る親株として使えること」は別の話です。

苗の質を考えるなら、親株は毎年新しい株に入れ替えるのが基本になります。

家庭菜園なら2年目まで使える場合もある

家庭菜園で数株から苗を取る程度なら、2年目の親株でも苗は取れます。前の年に病気が出ておらず、株に勢いが残っていることが条件です。

ただし2年目の株は、1年目に比べてランナーの出方や子株の揃いが落ちやすくなります。「取れるけれど、質は少しずつ下がる」と考えておくと失敗しにくいです。

3年目以降の株は、見た目に勢いが残っていても親株にしないのがおすすめです。病気を抱えている可能性が年々上がるため、うちでも3年目の株から苗を取ることはありません。

農家が親株更新を重視する理由

農家は、親株を毎年更新するのが当たり前になっています。うちでも、苗を取るための親株は毎年新しく用意しています。

理由はシンプルで、親株の状態がそのまま来年の苗の質になり、苗の質が翌シーズンの収穫を左右するからです。親株で手を抜くと、その影響が半年後、1年後に返ってきます。

家庭菜園の判断
  • 2年目までは条件付きで親株にできる
  • 病気が出ても被害は数株で収まる
  • 苗を買い直しても負担が小さい
農家(うち)の判断
  • 親株は毎年更新が基本
  • 病気が出ると畑全体に広がりかねない
  • 苗の質がそのまま経営に直結する

古い親株を残すほど増えるリスク

親株を長く使うほど、目に見えない病気や害虫を株の中に抱え込む可能性が高くなります。いちごの病気には、葉や株の見た目だけでは分かりにくいものがあるためです。

古い親株から取った子株は、そのリスクごと受け継ぎます。「元気そうに見えるから大丈夫」と言い切れないのが、親株の難しいところです。

親株を使い回すと起きやすい3つの問題

私が実際に見てきた範囲で、古い親株を使い回すと起きやすい問題は次の3つです。

ランナーの勢いが落ちる

年数が経った株は、ランナーの本数と伸びる勢いが落ちてきます。必要な数の子株を確保できず、育苗の計画が崩れる原因のひとつです。

そもそもランナーがほとんど出ない場合は、親株の古さとは別の原因が隠れているかもしれません。いちごのランナーが出ない原因で、時期・品種・親株の見直し方を整理しています。

病気や害虫を子株に引き継ぎやすい

親株が病気を持っていると、ランナーでつながった子株にもそのまま伝わります。育苗の時期はハダニやアブラムシも増えやすく、親株に付いた虫は子株にも移りがちです。

葉の裏の小さな虫が気になる場合は、いちごのハダニ対策いちごのアブラムシ対策もあわせて確認してみてください。

苗の大きさ・根張りがそろいにくい

勢いの落ちた親株から取った子株は、大きさや根張りにばらつきが出やすくなります。揃っていない苗だと、植え付け後の生育もばらばらです。

苗が揃わないと、実がなる時期まで株ごとにずれてしまうのが困りものです。収穫を安定させたいほど、親株の若さと元気さが効いてきます。

使ってよい親株・使わない方がよい親株の見分け方

手元の株を親株にしてよいか迷ったら、次の表で確認してみてください。ひとつでも右側に当てはまるものがあれば、その株から苗を取るのは見送るのが無難です。

親株の状態 判断
新しい葉が濃い緑でつやがあり、ランナーが次々伸びている 親株に使ってOK
前シーズンに病気が出ておらず、株元がしっかりしている 親株に使ってOK
取れた子株の勢いが揃っている 親株に使ってOK
葉が黄ばむ・斑点やまだら模様が出ている 使わず処分
ランナーが少ない・細い・途中で枯れる 使わず処分
炭疽病など病気が疑われた履歴がある 使わず処分
株元が黒ずむ・ぐらつく・古い葉ばかり 使わず処分
子株の大きさがばらばらで弱々しい 使わず処分

使ってよい親株の特徴

いちばん分かりやすいのは、新しい葉の色とランナーの勢いです。濃い緑の葉が次々と出て、ランナーが太く伸びている株は、親株として力が残っています。

前の年に病気らしい症状がなかったことも、大事な条件のひとつです。

処分した方がよい親株の特徴

葉に斑点やまだら模様が出ている株、株元が黒ずんでいる株は、親株にするのを避けてください。病気を子株にまとめて引き継ぐおそれがあります。

葉が黄色っぽくなっている場合は、病気以外の原因のこともあります。いちごの葉が黄色くなる原因と対策で見分け方をまとめているので、判断に迷ったら参考にしてください。

病気が疑われる親株は、畑やプランターの近くに残さず、袋に入れて処分するのが安心です。とくに炭疽病のような病気が疑われる株は、堆肥に回したり、古い土と一緒に使い回したりしないでください。

処分したあとは、使ったはさみや手袋も一度きれいにしておくと、ほかの株へ病気を広げるリスクを減らせます。

見た目が元気でも注意したいケース

見た目は元気でも、前のシーズンに近くの株で病気が出ていた場合は注意が必要です。症状が出ていないだけで、菌をもらっている可能性があるためです。

「病気が出た列の株は親株にしない」と決めておくと、迷わずに済みます。私もこのルールだけは毎年守るようにしています。

7月の育苗期に確認したい親株チェックリスト

7月は子株を育てる大事な時期です。親株の状態をこの時期に一度確認しておくと、秋の植え付けで慌てずに済みます。チェックの流れは次の4ステップです。

1
ランナーの本数を見る必要な苗の数に対して、ランナーが足りているかを数える。
2
子株の根張りを見る子株を軽く引いて、抵抗があるか確かめる。浅ければ切り離しを待つ。
3
葉の色・しおれ・斑点を見る朝になっても戻らないしおれ、変色や斑点がないか確認する。
4
親株まわりの水はけを見る水がたまる場所に置いていないか、鉢底の状態まで見る。

ランナーの本数を見る

必要な苗の数に対して、ランナーが足りているかを確認します。1本のランナーから複数の子株が取れますが、使うのは元気な子株だけに絞るのが基本です。

ランナーをどの位置で切るかは、いちごのランナーはどこで切る?切る位置・時期・切り方で詳しく解説しました。

子株の根張りを見る

子株を軽く引いてみて、しっかり抵抗があれば根が張っている証拠です。根張りの浅い子株は、切り離しを急がず、もう少し親株につないだまま育ててください。

葉の色・しおれ・斑点を見る

親株と子株の葉は、変色やしおれ、斑点がないかの確認も欠かせません。日中の暑さで一時的にしおれるのはよくありますが、朝になっても戻らないしおれは要注意です。

葉が内側に丸まっている場合の見分け方は、いちごの葉が丸まる原因にまとめました。

親株まわりの水はけを見る

夏の育苗は、暑さと水の管理が株の消耗に直結する時期です。水はけが悪い場所に親株を置いていると、根が傷んで勢いが落ちやすくなるので注意してください。

プランター栽培での夏の置き場所や水やりのコツは、いちごプランターの夏の管理が参考になります。

丹羽いちご園では親株をどう考えているか

ここからは、うちの農園での実際の考え方をお伝えします。家庭菜園とは規模が違いますが、判断の軸は同じです。

埼玉県吉見町での育苗スケジュール

うちの収穫期は冬から春(12〜5月ごろ)です。収穫が落ち着くと、こんどは育苗が本格化してきます。7月は子株を増やして育てる、1年の中でも大事な時期です。

収穫と育苗の準備が重なる春は、正直かなり忙しくなります。それでも親株と苗の管理を後回しにしないのは、ここでの手抜きが翌シーズンに直撃するからです。

7年の実体験で感じた「親株をケチる失敗」

就農して間もないころ、勢いの落ちた株も「まだ使えそうだから」と親株に残したことがあります。結果は、子株の大きさがばらばらで、植え付け後の生育も揃いませんでした。

苗代を節約したつもりが、シーズンの立ち上がりでつまずいて、かえって損をした形です。それ以来、親株は「もったいない」ではなく「来年の苗に使ってよいか」だけで判断するようになりました。

苗の質が翌シーズンの収穫に直結する理由

いちごは「苗半作」と言われるほど、苗の出来がその後を左右する作物です。揃った良い苗で植え付けができると、その後の管理もぐっと楽になります。

いちご狩りと直売で成り立っているうちの農園にとって、収穫の安定はそのまま経営の安定です。だからこそ、親株の更新はコストではなく投資だと考えています。

親株を更新するときに揃えるもの

親株を新しくして苗を取るとき、高価な設備は必要ありません。最低限そろえておきたいのは次の4つです。

育苗ポット

子株を受けるためのポットです。ポットに直接根を張らせる方法なら、切り離し後の植え傷みを減らせます。サイズは9cmポットあたりが扱いやすいです。

ランナーピン

子株をポットの土に固定するためのピンです。針金を曲げた自作やヘアピンでも代用できますが、数が多いなら専用品のほうが作業が早く進みます。

清潔な園芸ばさみ

ランナーを切るはさみは、清潔なものを使ってください。病気の株を切ったはさみをそのまま使い回すと、刃を通じて病気を広げてしまうことがあります。

新しい培養土

育苗ポットの土は、新しい清潔な培養土を使うのが安心です。古い土の使い回しは、病気や害虫を持ち込む原因になります。

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親株を更新して苗を取るなら、まずそろえたいのは清潔なはさみ・育苗ポット・ランナーピン・新しい培養土です。子株を傷めずポットに固定したい方は、ランナーピン(固定クリップ)を確認してみてください。あわせて育苗ポットや培養土も一緒に見ておくと、買い忘れを防げます。

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よくある質問

Q. 2年目の親株から苗を取ってもいいですか?

前の年に病気が出ておらず、葉色とランナーの勢いが良ければ取れます。ただし1年目の株より苗の質は落ちやすいので、子株は元気なものだけを選んでください。

Q. 親株は冬越しさせてもいいですか?

冬越し自体は問題なくできます。ただ、その株を翌年も親株として使うかは、春先の葉色・ランナー・病気の有無を見てから判断するのがおすすめです。

Q. 親株が病気っぽいとき、ランナーだけ使えますか?

おすすめしません。ランナーは親株と直接つながっているため、見た目がきれいな子株でも病気を受け継いでいる可能性があります。疑わしい株は、株ごと親株から外してください。

Q. 苗代を節約したい場合はどうすればいいですか?

元気な株を1〜2株だけ「苗取り専用」と決めて、実を取らずに育てる方法があります。株の体力がランナーに回るので、少ない親株でも質の良い子株を確保しやすくなります。苗の増やし方の全体の流れはいちごの苗の増やし方でまとめました。

まとめ:親株は「残せるか」より「来年の苗に使ってよいか」で判断する

いちごの親株は、株としては何年も生きますが、苗を取る親株としては基本1年で更新するのが安心です。家庭菜園で2年目の株を使うなら、病気の履歴と株の勢いを先に確認してください。

迷ったときは「この株の子を、来年の主力にしてよいか」と考えてみてください。答えに詰まる株は、思い切って更新したほうが、翌シーズンの後悔が減ります。

7年やってみて、苗づくりだけは近道がないと感じています。親株選びから丁寧にやることが、結局いちばんの近道でした。

※この記事は、丹羽いちご園の実際の経験をもとに、AI(文章作成の補助)を活用して構成・執筆しています。栽培の判断は、お住まいの地域やご自身の環境に合わせてご検討ください。

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