いちご農家の失敗は、栽培の技術だけではありません。私が就農して7年、いちばん後悔しているのは、繁忙期の段取り、売る準備、お金の見通し、そして記録の残し方でした。
この記事は、これからいちご農家を目指す人や、就農して間もない人に向けて、私が実際にやってしまった判断ミスと後悔を正直に書いたものです。きれいな成功談ではなく、同じ失敗を少しでも減らしてもらうための「後悔の記録」です。
いちご農家で失敗したことは、栽培だけではありません
就農前の私は、「良いいちごを作れれば、あとは何とかなる」と思っていました。実際に始めてみると、つまずいたのは栽培そのものより、時間の使い方や売る準備、お金のやりくりでした。
この記事は成功ノウハウではなく、後悔の記録です
ここで書くのは、私がうまくいったことではありません。「あのとき、こうしておけばよかった」と今も思っていることです。読みながら「自分も同じことをしそうだ」と感じた部分があれば、そこがあなたの準備ポイントになります。
丹羽いちご園の前提|埼玉県吉見町・就農7年・直売といちご狩り中心
私は埼玉県吉見町でいちごを育てています。就農7年で、いちご狩りと直売が中心の小さな個人農園です。収穫期は冬から春(12〜5月ごろ)に集中します。
独立する前は、農業研修を受けながら、夜は長距離トラックのドライバーもしていました。最初に手に入れた土地は雑草だらけで、ハウスの鉄骨もサビが目立つ状態でした。それを掛け持ちの合間に、少しずつ使えるように整備していったのが始まりです。
いちご農家になるまでの流れそのものは、いちご農家になる方法|資格・資金・就農ルートで整理しました。この記事では、その先で私がつまずいた話を中心にお伝えします。
失敗1|就農前に「忙しさの波」を甘く見ていた
いちご栽培は、1年をならすと忙しさに波があります。私はこの波の大きさを、就農前に想像しきれていませんでした。
春は虫の点検・傷んだ実の除去・育苗が同時に来る
春はとくに作業が重なります。害虫の点検、傷んだり腐りかけたいちごの取り除き、そして翌シーズンに向けた育苗が、ほぼ同じ時期に走り出します。
収穫と接客をしながら、片手で虫を見て、傷んだ実を落とし、苗の準備も進める。1つひとつは難しくなくても、同時に来ると手が回らなくなりました。
繁忙期は体力より判断力が削られる
忙しい時期にきついのは、体力よりも「今日は何を優先するか」を決め続けることでした。全部やろうとすると、どれも中途半端になります。
疲れてくると判断が雑になり、後回しにした作業がさらに積み上がる、という悪循環にも陥りました。
今なら、春前に減らす作業を決めておく
今は、春の繁忙期に入る前に「この時期はやらないこと」を先に決めるようにしています。手を広げすぎず、収穫・点検・育苗の軸だけは崩さない。そう考えるようになったのは、一度パンクしかけたからです。
失敗2|季節の読み違いで、育苗が後手に回った
私がとくに悔やんでいるのが、育苗の遅れです。収穫や日々の管理に追われて、苗づくりの着手が後ろにずれてしまった年がありました。
予定通りに進まない前提が足りなかった
就農前は「予定どおりに作業できる」と考えていました。実際は、天候や収穫の状況で、その日にやるべきことが簡単に変わります。育苗のように「少し先の作業」は、目の前の忙しさに押されて後回しになりがちでした。
育苗の遅れは、翌シーズンの苗の質に響く
苗づくりが遅れると、その分だけ翌シーズンのスタートに影響します。目の前の収穫は回っていても、来年の土台づくりが薄くなる。これは、あとになって効いてくる失敗でした。
失敗後に変えた、作業の前倒しの考え方
今は「少し先の作業ほど早めに手をつける」ことを意識しています。忙しくなると後回しになりやすいと分かったので、繁忙期が本格化する前に育苗の準備を進めるようにしました。
失敗3|設備や品種を、補助金や売り方まで見ずに選んでしまった
設備や品種を選ぶときも、迷いと後悔がありました。見た目や評判の良さだけで決めそうになったことが何度かあります。
設備は買った後に変えにくい
設備は、いったん導入すると簡単には替えられません。私が今いちばん重視しているのは、夏の暑さ対策です。近年の暑さは厳しく、ここを軽く見ると株が弱るため、設備を選ぶときはまず暑さへの対応を考えるようになりました。
品種は味だけでなく、収量・管理・売り方まで影響する
品種選びも、甘さや香りだけで決めると後で困ります。私は、まず収量が安定して多い品種を軸に置き、そこに個性のある品種を組み合わせる形にしています。直売やいちご狩りでは、量が確保できることが経営の安定につながるからです。
実は、品種と設備投資はセットで考えるべきだったと今は思います。埼玉県の育成品種を選んでいれば設備投資の補助金を使えた場面があったのに、そのことを知らずに品種を決めてしまい、あとから気づいて悔しい思いをしました。埼玉県育成品種と設備投資の補助金の関係は、就農前に知っておきたかった内容です。
迷ったときは「自分の農園の売り方」から逆算する
設備も品種も、迷ったときは「うちはどう売っているか」から逆算すると決めやすくなりました。いちご狩り中心なのか、直売中心なのかで、必要な設備や向いている品種は変わります。
失敗4|売る準備を後回しにして、売れない時期に焦った
作ることばかりに気を取られて、売る準備を後回しにしていた時期があります。これも大きな後悔の1つです。
作れば売れる、と思っていた時期があった
就農して間もないころは、「良いものを作れば、お客様は来てくれる」と考えていました。でも実際は、知ってもらう準備をしていないと、収穫のピークに人が動いてくれません。
春休み明け〜GW前は、お客様の動きが鈍る時期がある
私が体感しているのは、春休みが終わってからゴールデンウィーク前までの、お客様の動きが少し鈍る時期です。いちごはまだ穫れているのに、来園や注文が落ち着いてしまう。この「売れにくい時期」を把握しておかないと、収穫物を前にして焦ることになります。
今は、この時期に向けた告知や案内を早めに準備するようにしています。
販路設計の詳しい話は関連記事へ
売り先やお金の準備でつまずく人は多く、私もその一人でした。販路をどう組み立てるかは、新規就農で失敗する原因は出口戦略にある|販路とお金の準備リストで詳しくまとめています。この記事では、私が「焦った」という体験の部分だけお伝えします。
失敗5|お金の不安を、数字にするのが遅かった
お金の話は、就農前にいちばん見通しを立てておくべきでした。私は、収入と支払いのタイミングのズレを、数字で把握するのが遅れました。
支払いと入金のタイミングがずれる時期がある
農業では、資材費や設備の支払いが先に来て、収入は後から入ることがあります。私の場合、いちご狩りの予約サイト(じゃらんなど)を通した入金が少し遅れて、手元の現金が一時的に苦しくなった時期がありました。
売上が立っていても、実際にお金が入るまでにタイムラグがある。ここを甘く見ていたのが失敗でした。
売上があっても、手元のお金は別問題
「売れているのに、なぜか手元にお金が残らない」という感覚は、多くの新規就農者が通る道だと思います。売上と、実際に使えるお金は別だと、早めに数字で確認しておくべきでした。
資金・年収の詳しい話は関連記事へ
就農にいくら必要かは新規就農の資金はいくら必要?で、売上と手取りの違いは脱サラ農家の年収の現実で整理しています。数字の準備は、この2本を先に読んでおくと安心です。
失敗6|地域への説明を後回しにして、遠回りした
これも失敗として書いておきたい話です。私が就農できたのは人とのつながりのおかげでしたが、その関係づくりを「落ち着いてから」と後回しにしていた時期があり、結果的に遠回りをしました。
農地が見つかったのは、人のおかげだった
新規で農業を始めるとき、いちばんの壁になりやすいのが農地です。私の場合、農地が見つかって独立できたのは、間に立ってくれた人がいたからでした。自分ひとりの力だけでは、あの土地にはたどり着けなかったと思います。
それだけに、もっと早く自分から地域に説明しておけばよかったと感じています。どんな栽培をするのか、いつ人が来るのか、農地をどう使うのかを、もっと早く伝えておけばよかったです。
最初から完璧な関係を作ろうとしなくていい
地域に入るとき、最初から完璧な人間関係を作ろうと気負う必要はありません。日々のあいさつや、少しずつのやり取りの積み重ねで、必要なときに助けてもらえる関係ができていきました。
自分から動くのを後回しにしたのは失敗だった
一方で、自分が何をしようとしているのかを地域に伝える努力を、私は「落ち着いてから」と後回しにしていました。実際は、早めに自分から動いたほうが誤解も少なく、助けてもらいやすかったはずです。就農前に知っておきたい現実は、「農家の現実」を知ってから始めよにもまとめています。
失敗7|就農当初の記録をもっと残しておけばよかった
いちばん取り返しがつかない後悔が、記録を残せなかったことです。とくに、始めたばかりのころの写真がほとんどありません。
雑草とサビだらけの土地を整備した時期の写真が少ない
研修と夜勤のトラックドライバーを掛け持ちしながら、雑草だらけでサビの目立つ土地を、少しずつ使えるように整えていった時期。今思えば、あの過程こそ残しておく価値がありました。でも当時は目の前のことで精一杯で、写真も記録もほとんど撮れていません。
作業メモ・売れ方の記録は、あとで財産になる
どの時期に何をして、どのいちごがどう売れたか。こうした記録は、翌年の改善に直結します。記憶だけに頼ると、同じ失敗を繰り返しやすくなります。
農家ブログやホームページは、集客だけでなく記録にもなる
記録を残す方法として、私が今すすめたいのが農家ブログやホームページです。発信は集客のためだと思われがちですが、実際は「自分の農園の歩みを残すノート」としても役立ちます。
※PR(アフィリエイト広告を含みます)
記録と発信の土台を、早めに作っておく
私は独立当初の写真や記録をほとんど残せませんでした。農家ブログやホームページがあれば、失敗や改善の記録が残り、将来の直売・いちご狩りの集客にも生きてきます。WordPressで始めるなら、サーバーはエックスサーバーが比較候補のひとつです。
![]()
記録を後回しにした後悔については、脱サラ農家が後悔する1つのことでも詳しく書いています。あわせて読むと、なぜ早めの記録が大事かが伝わると思います。
いちご農家の失敗を減らすために、就農前に確認したいこと
ここまでの私の失敗を、就農前のチェックとしてまとめました。診断というより「気づきの表」として見てください。当てはまるものが多いほど、準備を厚くしておくと安心です。
| 就農前に確認したいこと | 当てはまると危険 |
|---|---|
| 春に虫の点検・傷んだ実の除去・育苗が重なると知らない | 作業が詰まる |
| 育苗など「少し先の作業」を後回しにしがち | 翌年の苗に響く |
| 設備を価格や見た目だけで選びそう | 後から変えにくい |
| 売れにくい時期(春休み明け〜GW前など)を把握していない | 収穫後に焦る |
| 支払いと入金のズレを計算していない | 現金が苦しくなる |
| 相談できる農家・地域の人が少ない | 孤立しやすい |
| 作業や畑の記録・写真を残す習慣がない | 改善点が見えない |
体力より、繁忙期の段取りを想像できているか
農業は体力仕事だと思われがちですが、私がきついと感じたのは段取りの部分でした。繁忙期に何と何が重なるかを、就農前に一度シミュレーションしておくと違います。
作る前に、誰にどう売るかを考えているか
良いものを作ることと、それが売れることは別です。作り始める前に、誰にどう届けるかを少しでも考えておくと、収穫後の焦りが減ります。
記録と発信を後回しにしていないか
記録は、忙しいほど後回しになります。だからこそ、始める前に「残す仕組み」を決めておくと安心です。あとから振り返れる記録は、大きな財産になります。
まとめ|失敗しない農家はいないが、同じ失敗は減らせる
7年やってきて思うのは、失敗しない農家はいない、ということです。私自身、繁忙期の段取り、育苗の遅れ、売る準備、お金の見通し、記録の残し方で、たくさん後悔してきました。
それでも、事前に知っていれば減らせる失敗はあります。この記事が、これから就農する人にとって、その「知っておけばよかった」を少しでも先回りできる材料になればうれしいです。
自分が農業に向いているか迷っている方は、脱サラして農業に向いている人・向いていない人の特徴もあわせて読んでみてください。
※この記事は、丹羽いちご園の実際の経験をもとに、AI(文章作成の補助)を活用して構成・執筆しています。就農や栽培の判断は、お住まいの地域やご自身の状況に合わせてご検討ください。
コメント