🍓「コメ高騰」と農家の叫びに思う、同じ農に生きる者としての胸の内【丹羽いちご園の農家ブログ】

こんにちは。
埼玉県吉見町でいちご農家を営んでおります、「丹羽いちご園」の丹羽です。

今日はいつもの甘酸っぱいいちごの話ではなく、少し真面目なお話をさせてください。
TBS NEWS DIGで放送された「備蓄米放出後も…コメ高騰、農家が抱く危機感」という特集番組を見て、胸の奥が熱くなりました。そして、涙が出そうになりました。
それは他人事じゃなかったからです。
同じ「農」という現場に立つ者として、「これは自分の問題だ」と、心から思ったからです。


目次

🍚子ども食堂の悲鳴に「米が一番好き」と言う声が突き刺さる

番組冒頭、学生が運営する子ども食堂のシーン。
「お米が足りない」「メニューからお米を外すかも」という言葉。
そして、「お米が一番好きなのに…」とつぶやいた子どもの声。

これだけで、グッときてしまいました。
日本の農業は、誰のためにあるのか。
誰に食べてもらうために作っているのか。
その「原点」を、忘れていたわけではないけれど、あらためて突きつけられた思いです。

農家の想いは、「誰かの食卓の笑顔のために」。
なのに、現実は逆行している。
作る人も減り、食べる人のところにも届かない。
そんな歪みが、子どもの食卓にまで影響しているという事実に、心が痛みました。


🇺🇸「アメリカで日本米の方が安い」という矛盾

番組ではアメリカの日系スーパーで、日本産米が日本よりも安く売られている現状も紹介されていました。
「5kgで約3,000円」と言えば、日本の販売価格よりも1,000円以上安い。
これはもう、本当に訳がわからなくなるような現実です。

為替の影響や契約タイミングの違いもあるとのことですが、それにしてもおかしい。
農家がコストをかけて丹精込めて育てた米が、日本では値上がりし、アメリカでは安く売られている。
この「ねじれ」が、農家と消費者の距離をますます広げているように感じます。


🚜減反政策の爪痕が今も深く残る

大潟村の歴史を知る者として、そして「作ってはいけない」と言われた作物を作り続けている苺農家として、減反政策の話には胸が詰まりました。

田んぼを作るために湖を干拓した人々が、「米を作るな」と言われた。
夢をかけた土地で、作ることが許されない。
その理不尽さに、怒りすら覚えました。

そして今も、減反政策が名目上は廃止されても、実質的な「指標管理」は続いている。
これでは、農家が「未来のための投資」をできるはずがありません。
いちご農家の私も、肥料代、ビニール代、燃料代、どれもこれもが上がり続けています。
それでも「いちごを楽しみに待ってくれる人がいる」と思えば踏ん張れる。
だけど、同じ農家仲間が「作りたくても作れない」「やめたい」と言っているのを聞くと、切ない気持ちになります。


🌾JAを通さない農家が「闇米」と呼ばれた時代

番組内で紹介された「直販農家」が「闇米」と批判された話。
私たち丹羽いちご園も、「直販」でいちごを届けています。
JAを通すことなく、SNSや地域イベント、口コミで、顔の見えるお客様に届ける形です。

だからこそ、「闇米」という言葉には背筋がゾッとしました。
農家が、自分の作った作物を、誰かの笑顔のために直接届ける。
その行為が、かつては「ルール違反」だった。
でも、今ようやく時代が追いついてきた気もします。
それは農家たちが諦めずに戦い続けた結果だと思います。


🧓高齢化、資材高騰、撤退…「百姓一揆」の本当の意味

農業資材の高騰。
肥料が1,500円から4,000円。
燃料費も上がり、ビニールハウスの運営費用は倍以上。

うちも例外ではありません。
ビニール張り替えのたびに「この先も続けていけるか…」と不安になります。
そんな中、番組で紹介された「令和の百姓一揆」のデモには、正直、共感しました。

農業は好きだけど、生活ができない。
農業に誇りを持ってるけど、後継者に継がせられない。
「これ以上、我慢はできない」と声を上げた農家たちの姿は、とてもリアルで、そして悲壮感すらありました。


🍓農業の「尊さ」と「誇り」を守るために

私は、いちご農家です。
お米ではありません。
けれど、土にまみれ、天候に振り回され、そして季節を感じながら「食」を届ける立場にいるという意味では、米農家さんと同じです。

「誰かに届く」ことが、農業の一番のやりがいです。
だけど、届かなくなる日が来るかもしれない。
作りたくても、作れない日が来るかもしれない。
そう考えると、「この問題は他人事じゃない」と本当に思います。


📝最後に:農業の「当たり前」を守るには

番組の最後のナレーションで「単なる価格変動ではなく、日本の農業の根幹に迫る」とありました。
まさにその通りです。

私たち農家は、「今を守る」ために働いています。
でも、同時に「未来を残す」ために種を蒔いています。
その種が芽を出し、育ち、実り、また次の世代へつながっていく。
その連鎖が、断たれそうになっている今、もう一度、農業を「支える側」にも目を向けてほしいと心から願います。

食べるという行為の背後には、汗と努力、そして愛情がある。
それを忘れずにいてくれる人が、一人でも多く増えてくれたら、私たちは明日も畑に立てます。


【この記事を書いた人】
埼玉県吉見町「丹羽いちご園」園主・丹羽
季節の恵みを届ける、家族経営の小さないちご園です。
子どもたちの「いちご、おいしいね」の笑顔を守るために、今日も土と向き合っています🍓

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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