餌がなければ帰るだけ!?『天敵のご馳走』で定着率が劇変した話

今日は、5月2日に公開された吉村農園さんのYouTube動画『第80回:天敵の餌編』を拝見して、思わずペン(正確にはキーボード)を取りました。いやあ、今回の内容は正直「めちゃくちゃ刺さった」と言っていいくらい、現場の悩みに直球ど真ん中。いちご農家として天敵導入をしている自分には、まさに「最後のピースが埋まった」ような感覚がありました。

■「天敵が効かない」の原因は“餌”だった?

天敵を導入している方なら、誰もが一度はこう思ったことがあるはずです。

「ちゃんと撒いたのに、定着しない……」

そう、環境を整えて、バンカーシートを設置して、湿度も維持して……でも気づいたら姿を消してる。なぜか?餌がないんですよ。

私のハウスもそうでした。定植後、初期防除をしっかりやってから天敵(例えばスパイカルEXなど)を導入するものの、「あれ?効いてない??」って思うことがある。そりゃそうです。餌となるハダニがゼロになってる状態で、天敵を放っても、彼らは「エサがねえぞ、じゃあサヨナラ!」って出て行っちゃうわけですよ。

これ、いちご農家あるあるじゃないですか?

今回吉村農園さんが取り上げた新資材「天敵のご馳走」は、この問題に真正面から向き合ったソリューションです。

■ガの卵=天敵の“弁当持参”方式

正直、最初に聞いたときは「ガの卵……??」と半信半疑でした。でも話を聞いて納得。これは天敵の餌として、研究機関や養殖の場では昔から使われてきた信頼のある素材なんですね。

ただ、その価格が100g=5万円という超高級品だったため、現場での利用は現実的でなかった。ところが今回、この「天敵のご馳走」は何と3000円という価格破壊で登場。研究者の平山さんが、長年の努力の末に量産体制を整えたおかげだそうです。

このコストダウン、控えめに言って革命です。

たとえるなら、「今まで外食に頼ってた天敵に、手作りのお弁当を持たせてあげる」感じ。だからハウスから逃げずに、安心してその場に居続けてくれる。これはすごい。

■撒き方も超シンプル!作業負担ナシ

導入コストが安いのも魅力だけど、撒き方が簡単ってのもポイント高い。

4m間隔で、ノズルをつけてパパッと散布するだけ。しかもすぐ乾くから、その後すぐに天敵を投入してもOK。作業に追われがちな我々農家にとっては「これは助かるなぁ〜」と素直に感じました。

ちなみに「天敵のご馳走」は、いちごだけでなく、トマト・ナス・ピーマン・キュウリなど、あらゆる作物に使えるとのこと。今や肌アザミウマやコナジラミも天敵導入で防除する時代、これが全作型に使えるのは大きなメリットです。

■いちご農家から見た「使いどき」はいつ?

今ちょうどシーズン終盤で、私のハウスも6月には片付けモードに入ります。

この資材の本領が発揮されるのは、やっぱり次のシーズン初期。10月〜11月頃の定植直後に、バンカーシート+天敵+ご馳走、の3点セットで導入するのが理想的だなと感じました。

あとは、育苗段階でもダニが出ることがあるので、育苗期にも活用できるというのは心強いですね。うちは今年、育苗ハウスでもハダニがちょこっと出たので、これも「次回やってみたいリスト」に即追加。

■「技術+人」への投資が未来をつくる

そして動画後半の「こどもの日」の話も、個人的には胸に響きました。

農業って、「技術革新」だけじゃ未来はつくれません。いくら良い資材があっても、それを使いこなす若い人材がいなければ意味がない。60代の従業員が多いという話、うちも同じです。だからこそ「若い力」と「現場で実感できる技術の革新」は、セットで投資されるべきもの。

今回の「天敵のご馳走」は、そんな“人”と“現場”を支える本物の資材だと感じました。

目次

■最後に:導入するか否かは、自分で判断!

最後に改めてお伝えしたいのは、「この資材を使うかどうか」は、やっぱり最終的には自分自身の判断次第だということです。

どんなに良さそうな資材でも、ほかの農家が絶賛していても、それが自分の圃場や栽培スタイルに合うとは限りません。農業って、場所・気候・品種・栽培履歴……一つとして同じ条件の現場はないですからね。

ただ、それでもなお一つだけ確実に言えるのは、**「情報を持っていること自体が武器になる」**ということです。

「天敵を入れているのに効かない」「定着しない」「撒いた意味があるのか疑問」と感じたことがある方は、今回のように**“餌の存在”という観点を持つだけで、視野がガラッと変わる**かもしれません。少なくとも私はそうでした。

これまで「湿度」とか「バンカーシート」とか、「環境づくり」には注力してきたつもりでしたが、「餌」の有無については正直あまり深く考えていなかった。でも、冷静に考えれば、いくら住み心地が良くても、食べ物がなければ出ていって当然ですよね。人間だってそうです。

そう考えると、この**『天敵のご馳走』はまさに“最後のピース”**。天敵資材の進化の流れの中で、ようやく一つの完成形が見えたような気がしています。

次の定植のタイミングでは、導入方法をもう一度見直しつつ、「環境」×「天敵」×「餌」の3本柱で準備をしていこうと思います。正直、今から少しワクワクしています。


✍️おわりに

農業って、どうしても孤独な仕事になりがちです。自分の圃場で起きていることが「正しいのか間違っているのか」、わからなくなることも多い。そんな時に、今回のように現場目線でリアルな課題と向き合い、しかもそこに技術革新を結びつけて解決していこうとする動画は、本当にありがたい存在です。

視聴していて、思わずうなずく場面も多かったし、「あ、うちだけじゃなかったんだな」と安心もしました。

これからもこういった発信がもっと広がって、若い就農者や技術に興味のある農家が「自分でもやってみよう」と前向きになれる、そんな輪が広がっていけばと願っています。

そして私自身も、いちご狩りに来てくださるお客様に「ここなら安心だね」と思ってもらえるような、より安全で、より持続可能ないちご栽培を追求していきたいと思います。

次のシーズン、新しい一歩を踏み出す準備は、もう始まっています。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェア頂けると嬉しいです!よろしくお願いします!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次