いちご農家が胸を打たれた「台湾の農業力」と「知恵を分かち合う力」
こんにちは、埼玉県でいちご農園を営んでいる丹羽いちご園の園主、丹羽です。
本日は、私が久しぶりに心から感動し、農家として改めて考えさせられたニュースについて、皆さんにどうしてもお伝えしたく、キーボードを叩いています。
それは、台湾出身の農業専門家・林志明(リン・ジーミン)氏が、中東・アラブ首長国連邦(UAE)の「不毛の砂漠」を緑の農地に変える奇跡を成し遂げたというお話です。
砂漠が緑に変わる?信じがたいニュースに目が釘付け
最初にこの話を耳にしたとき、正直「本当か?」と半信半疑でした。
農家をやっているからこそ、自然と向き合う厳しさ、土づくりや水の確保の大変さ、作物を育てることがどれほど繊細で難しいか、身をもって知っています。
そう簡単に「不毛の地を農地に変える」なんてことができるとは思えませんでした。
ところが、林志明さんはやり遂げたのです。
台湾農業の誇りと技術力に驚嘆
話を聞けば聞くほど、台湾農業の技術力に目を見張りました。
高温乾燥、年降水量100ミリ未満という絶望的な条件下で、水を1滴も無駄にしない精密点滴灌漑システム、
微生物を使った土壌改良技術、耐熱・耐乾燥に優れた作物の開発、スマート温室技術……。
「砂漠でも野菜や果物が作れる」なんて、まるでおとぎ話のようですが、林さんは理論だけでなく、実際に作物を実らせ、地元の人たちに「これは奇跡だ」と言わしめた。
農家として、心から拍手を送りたくなりました。
技術だけでなく、現地の若者たちへの教育にも力を入れ、農業に興味を持たない若者たちを一人、また一人と巻き込んでいく姿は、まさに「農業の伝道師」。
「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」――まさにその言葉を体現した取り組みに、胸が熱くなりました。
日本もかつて同じ道を歩んだ
実は日本も、今のような豊かな農業大国になるまで、決して平坦な道ではありませんでした。
戦後の食糧難、水不足、土地改良、品種改良…。私の祖父も、父も、そうした厳しい時代を乗り越え、少しでも良い作物を作ろうと必死でした。
私自身も、いちご農園を始めた頃は失敗続きで、売り物にならない実を何度も見てきました。
それでも、技術を磨き、知恵を出し合い、仲間と助け合ってきたからこそ、今があります。
台湾が歩んできた道と、日本の農業の歴史が重なって見え、林さんの取り組みに親近感を覚えずにはいられませんでした。
知恵を「惜しみなく分かち合う姿勢」に学ぶ
私が特に胸を打たれたのは、林さんの「知識はシェアするほど増える」という考え方です。
日本の農業界にも、時に「技術を盗まれるのではないか」「真似されたら困る」といった声を聞くことがあります。
しかし林さんは、「教えることで、その土地に根付き、さらに進化し、自分たちも学び続けられる」と言っています。
これこそが、本当に強い農業の姿ではないでしょうか。
私自身、近年はいちご狩りのお客様だけでなく、地元の小学生や若手農家、観光農園を始めたいという方々に「いちご栽培体験教室」や「農業講座」を開くようになりました。
最初は「商売敵を増やすだけじゃないか?」と周囲に言われたこともあります。
でも、教えた人が成功し、地域が賑わい、埼玉のいちごのファンが増える。それこそが、地域全体の活性化につながると、今は信じています。
農業は「かっこいい」仕事だと伝えたい
林さんが、現地の若者に「農業ってかっこいい!」と思わせた話も、私の心に強く響きました。
「農業は3K(きつい・汚い・稼げない)」なんて言われることもあります。
でも、本当にそうでしょうか?
スマホ一つでハウスの温度や湿度、水やりを管理できる最新技術。
マーケットやSNSを活用して、自分たちの作物を世界中に発信できる情報発信力。
お客様の「おいしい!」の笑顔を直接見ることができるやりがい。
農業は、やり方次第でいくらでも「かっこよく」なれるんです。
林さんのように、未来を切り拓く若者たちが一人でも増えることを、心から願っています。
いちご農家としてできること
今回のニュースを読んで、私も改めて「自分にできることは何だろう」と考えました。
大それた技術も、大きな資本もありません。
それでも、林さんが言う「知識は分かち合うほど増える」という言葉を信じ、これからも積極的に学び、伝えていきたい。
そして、いちご農家として、「おいしい」「楽しい」「また来たい」と思ってもらえる場所を作り続けたい。
いちごという作物を通じて、子どもたちに「農業っておもしろい」「自分もやってみたい」と思ってもらえるような、そんな農園を目指していきます。
さいごに
林志明さん、本当に素晴らしい取り組みをありがとうございます。
あなたが異国の砂漠でやり遂げた挑戦は、単なる技術革新にとどまらず、世界中の農業者に大きな勇気と希望を与えてくれました。
そして何よりも、農業とは「未来を変える力を持っている仕事」だということを、あらためて私たちに教えてくれました。
「どんな土地でも、知恵と情熱、そしてあきらめない心があれば、必ず命が芽吹く。」
その姿を見せてくださったことに、農家として、同じ”土”に向き合う者として、心から敬意を表します。
台湾の農業の力、そして「知識は分かち合うほど増える」というその哲学に、私は深く感動しました。
日本でも、埼玉でも、農業を取り巻く環境は決して楽ではありません。
自然相手の仕事は、時に思い通りにならず、苦しむことも多いです。
けれど、林さんの挑戦を知った今、私は確信しました。
どんなに小さな取り組みでも、続けることに意味がある。
今この手で育てている一粒一粒のいちごが、誰かの「おいしい笑顔」や「農業ってすごい!」という気付きにつながっていく。
それが未来を作る第一歩になるのだと。
私はこれからも、埼玉のいちご農家として、小さな一歩を積み重ねていきます。
どんな時も「農業は未来をつくる仕事だ」という誇りを胸に抱きながら、今日もビニールハウスの中でいちごの手入れに励んでいます。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
もしこの記事を読んで、少しでも「農業って面白そう」「自分もやってみたい」「いちご狩りに行ってみたい」と思っていただけたなら、
それほど嬉しいことはありません。
ぜひ一度、○○いちご園に遊びに来てください。
甘くて美味しいいちごを味わっていただきながら、土に触れ、作物を育てる楽しさや苦労、そして農業の未来について一緒に語り合いましょう。
あなたの「気付き」や「挑戦したい」という気持ちを、私たち農家はいつでも大歓迎しています。
次は、あなたが誰かに「農業の魅力」を伝える番かもしれませんね。
それでは、またお会いできる日を楽しみにしています。
🔗 参考元動画はこちら(YouTube)
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