農家の悲鳴を大学生が救う!“いちごフードロス”最前線レポート

🍓【農家の視点から】学生たちの力でイチゴを救え!〜春のフードロス削減プロジェクトに想うこと〜

普段は静かな農園の中で、いちごたちと向き合いながら、ひとつひとつの実を大切に育てていますが、先日とても心動かされるニュースを見ました。
「地域課題の解決に挑む大学生たちが、春のフードロス削減のためにいちごの収穫を手伝い、キャンパスで販売まで行う」という取り組み。これは本当に素晴らしいと思います。そして、まさに今この“4月”という時期だからこそ、多くの農家にとって共感の声があがる内容でした。

今日は、ひとりの農家として、このニュースに対して感じたこと、そして同じような現状を抱える立場からの本音をお伝えできればと思い、こうしてブログを書くことにしました。


目次

■「4月のいちご問題」は農家共通の悩み

このニュースの中でも語られていましたが、4月のいちごは本当に売れにくい時期なんです。
理由は明確で、春休みの終わりと共に観光客が激減し、しかもゴールデンウィークまでの空白の期間が生まれる。この時期、気温もぐっと上がり、いちごの熟すスピードも加速します。

うちの農園でも、毎年4月に「どうしてこんなに採れるのに、人が来ないのか…」とため息をつくことが多いです。せっかく育てた実が、摘まれずに腐ってしまう。その無力感とやるせなさは、農家でなければなかなか伝わりません。

そんな中で、学生さんたちが「廃棄されるいちごを救いたい」と現場に来てくれるというのは、まさに希望の光です。


■“フードロス”という言葉の重みを、ようやく実感してもらえる時代に

私たち農家にとって、フードロスは“数字”ではなく“痛み”です。
育てた作物が売れない、誰にも食べてもらえない、それが廃棄される。
これは単なる「余剰食品」ではなく、手間暇と愛情をかけた“命の一部”です。

近年、「フードロスをなくそう」という社会の動きが広がっていることには、心から感謝しています。けれど、実際に現場に足を運び、収穫の苦労や時間、鮮度の管理の難しさまで体感する人はまだまだ少ないのが現実。

そういった意味で、今回の取り組みは**“都市と農の距離”を一気に縮める一歩**だと思います。
学生たちが実際にいちごを収穫し、それをパックに詰めて販売するという一連の流れを体験することで、作物の命の価値を肌で感じてもらえる。この「体感」が、社会を変える原動力になるんじゃないでしょうか。


■農業の現場に“若い視点”が入る価値

もうひとつ、このニュースで私が感心したのが、学生たちが販売まで自分たちで行っていたという点です。

農家の多くは高齢化が進んでいます。SNSでの発信やマーケティングには疎く、どうしても「作る」ことには慣れていても「売る」ことが苦手です。

そこに、大学で経営やデザインを学んでいる若者たちが入るとどうなるか。
それは単なる労働力の補填ではなく、農業に“新しい視点”が入るきっかけになるんです。

たとえば、形が悪い、色が薄い、というだけで市場に出せないいちごたち。
それを「キャンパス限定」「規格外でも美味しい」として打ち出し、SNSやポップで工夫して売る。こういう発想ができるのは、やっぱり若い世代ならではの力です。


■“もったいない”の先にある、新たな可能性

このニュースを見て私が最も強く感じたのは、「もったいない」から始まった行動が、結果として地域の魅力づくりにも繋がっているということ。

いちごを救いたい、農家を助けたい、という気持ちが、いつの間にかキャンパスの食堂に“地元産の旬のいちごが買える”という魅力を生み出す。そしてそれは、地域の人々にとっても新たな誇りになります。

農業には、まだまだ埋もれている価値がたくさんあります。
それを見つけ出し、磨き、発信する。このサイクルを担えるのは、地域と真剣に向き合う若者たちの情熱だと思います。

■最後に:農家から学生たちへのメッセージ

学生の皆さん、本当に、本当にありがとうございます。

皆さんが朝早くから泥のついた長靴を履いて、日差しの下で汗を流しながら、一粒一粒丁寧にいちごを摘んでくれた姿――
それは私たち農家にとって、どんな励ましの言葉よりも心に沁みました。
皆さんの手のひらに乗ったその小さな赤いいちごは、単なる作物ではありません。
それは、季節を読み、天候に気を配り、寒い朝も暑い昼も我慢しながら、何ヶ月もかけて育ててきた、私たちの“想い”の結晶です。

でも、どんなに手間をかけても、春の中途半端な時期には売れ残ってしまう。
規格外というだけで捨てられる。
その現実に、どれだけ悔しい思いをしてきたか、どれだけ「もうやめようか」と心が折れかけたことか。

そんな中で、皆さんの存在は、私たちに“諦める理由”ではなく、“続ける理由”を与えてくれました。

あのいちごを受け取ったキャンパスの学生さんたちが「こんなに甘くておいしいんだ!」と驚いていたと聞きました。
それは、見た目じゃなく“中身の価値”を知ってくれる人がいるという証拠です。
そして、それを“伝える役割”を果たしてくれたのが、皆さんだったということを、私たちは決して忘れません。

農業の世界は、課題だらけです。
気候変動、人手不足、高齢化、流通の壁……。
でも、そこに若い感性と柔らかい発想、そしてまっすぐな情熱が加わることで、まだまだ希望があるんだと、今回の取り組みを通じて実感しました。

どうかこれからも、現場の声に耳を傾けてください。
教科書では学べないことが、畑の中にはたくさんあります。
汗のにおい、土の感触、そして収穫したときのあの達成感。
すべてが、皆さんの人生を豊かにする“生きた学び”になるはずです。

私たちも、もっと開かれた農業にしていきます。
若い人たちと一緒に語り合い、一緒に挑戦し、新しい価値を育てていけるような、そんな未来を目指します。

「一粒のいちごから、社会が変わる」
そんな奇跡を、一緒に起こしていきましょう。

また畑でお会いできる日を、心から楽しみにしています。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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