日本が飢える日が来る──埼玉いちご農家が見た“食卓崩壊”のリアル

日本の農業、そして「食べる」を支えるということ

目次

~いちご農家として今、皆さんに伝えたいこと~

こんにちは、埼玉で小さないちご農園を営んでおります、丹羽いちご園の園主、丹羽です。
今日は、皆さんにどうしても伝えたいことがあり、ブログを書いています。少し長くなりますが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。


先日拝見したある有名コメンテーターさんの話が、今でも心に引っかかって離れません。
「日本の食料安全保障が危ない」「農家が疲弊している」「このままでは日本の子どもたちの命さえ守れないかもしれない」
その言葉を、農家である私も、胸にグサリと受け止めました。まさに、私たち現場にいる人間が、日々肌で感じている危機そのものでした。


■ いちご農家の私が実感している現実

私たちいちご農家も、例外ではありません。
いちごは贅沢品、なくても困らないと言われることもあります。しかし、私たち農家にとっては、命をかけて育てている大切な「作物」であり、家族を養う「仕事」です。

昨年、肥料代は1.5倍以上、電気代やビニールハウスの資材代も2倍近く跳ね上がりました。温度管理や病害虫対策のための薬剤、苗の購入費、どれもこれも上がる一方です。でも、いちごの価格は市場に合わせるしかなく、私たちが自由に値付けできるものではありません。

「だったら値上げすれば?」
そう言われることもあります。でも、現実はそんなに簡単ではありません。価格を上げれば「高い」と敬遠され、来園者が減る。スーパーに並ぶ安い輸入果物に押される。
結果、売れ残れば廃棄するしかない。

この負のループに、私たち農家は何年も悩まされています。


■ 自分たちの問題だけではない「食」の崩壊

今回の話は、米や牛乳、穀物、肥料、そして「種」まで。
日本の食の根本が、輸入依存と政策の失敗で崩れかかっているという現実を突きつけられました。いちごも例外ではありません。
例えば、いちごの苗の親株は、すでに海外依存が進んでいます。もし海外から苗や種が入らなくなったら、私たちは次のシーズン、いちごを育てることすらできなくなります。

「日本は飢えるぞ」「自給率9%になるかもしれない」
そんな恐ろしい未来は、決して大げさではない。私たち農家は、それを日々実感しています。


■ いちご狩りに来てくれる皆さんへ

いちご狩りは、農家からすれば、単なる「レジャー」ではありません。
「自分で摘んで食べる」という体験を通して、「作る人の顔」を知ってもらい、「食べ物ができるまでの大変さ」を感じてもらう、いわば小さな「命の授業」だと思っています。

私の農園では、毎年、親子連れやカップル、お年寄りまで、たくさんの方がいちご狩りに来てくれます。その時の「おいしいね!」「甘いね!」という笑顔が、私たち農家の支えです。でも、その裏で「来年もこの笑顔を守れるだろうか…」と、不安がよぎることが増えています。

いちご農家ですら、肥料、資材、燃料の高騰、後継者不足、気候変動、価格競争、あらゆる課題に悩まされています。
ましてや、主食である米や、小麦、野菜、牛乳、肉、卵。これを支える農家さんたちは、もっともっと厳しい状況です。


■ 食べることは「誰か任せ」では守れない

あのニュースを聞きながら思いました。
「国が悪い」「政策が悪い」「誰かが何とかしてくれる」
私たちは、ついそう考えてしまいがちです。でも、本当にそれだけでいいのでしょうか。

食べることは、私たち一人ひとりの命を守ること。
命を誰かに丸投げしていいはずがありません。

「農家だけの問題」「政治だけの問題」「流通だけの問題」
そうやって他人事にしているうちに、日本の農業は崩れかけています。
農家も消費者も、私たち一人ひとりが「当事者」として向き合わなければ、この国の食卓は守れない――私はそう強く感じています。


■ まずは「身近な食べ物」を選ぶことから

「いきなり農業支援なんて難しいよ」
そう思われる方もいるかもしれません。
でも、誰にでもできることが一つあります。

それは、「身近な農家の作ったものを選ぶ」ということ。
スーパーで「地元産」「国産」を手に取ること。
産直や農園から、直接買ってみること。
いちご狩りや農業体験に足を運んで、「食べる」を体感してみること。

小さな一歩かもしれませんが、それが「農家を守る」「地域を守る」「日本の食を守る」力になります。


■ いちご農家から、皆さんへお願い

どうか、今だけ安いもの、便利なものばかりを選ばないでください。
「誰が、どこで、どうやって作ったのか」に、少しだけ関心を持ってください。
いちごでも、野菜でも、牛乳でも、お米でも。

農家はみんな、あなたの「おいしい」のために、今日も汗を流して作っています。
でも、私たち農家だけでは守れません。
食べる人、買う人、支える人、みんなの力が必要です。


■ 未来を守るために、今できること

農業政策、食料安全保障、国の責任。
もちろんそれは、政治の大きな課題です。
でも、私たちには「今すぐできること」があります。

・近くの農家から買う
・国産を選ぶ
・農業体験や産直に足を運ぶ
・子どもたちに「食べ物の大切さ」を伝える

小さなアクションの積み重ねが、やがて「農業を守る力」になります。
その先に、子どもたちの未来、日本の未来があります。

■ 最後に 〜未来を変える「小さな一歩」を、今ここから〜

ニュースを聞いて、不安になった方もいるかもしれません。
「自分には関係ない」「どうせ何を言っても変わらない」と、つい心を閉ざしたくなる気持ちも、正直よくわかります。
私自身、農家として日々苦しみながらも、「どうせ何をやっても…」と投げ出したくなる瞬間が何度もありました。

それでも、私は信じています。
いや、信じたいのです。
日本の農家には、まだ底力があります。
私たち消費者にも、選ぶ力があります。
そして、みんなで支え合えば、きっと未来は変えられると。

「植えるか、飢えるか」──植えない未来ではなく、
もう一度、みんなで「植える」未来を選びませんか?

農家だけに任せるのではなく、
消費者だけが背負うのでもなく、
政治だけに期待するのでもなく。

「一緒に考え、一緒に支え、一緒に未来を作る」

そんな社会を、今ここから作っていきたいのです。
あなたが今日、手に取るその一品。
それが「誰かを支える一歩」かもしれないと、少しだけ思いを巡らせてください。
それが、未来を変える「最初の一歩」になると、私は本気で信じています。

いちご農家として、これからも「作る」ことをあきらめません。
一粒ひと粒、心を込めて育て、あなたに「おいしい」と笑ってもらえる日を信じて、土と向き合い続けます。

だから、どうか皆さんも「食べる」ことを、今一度、自分のこととして考えてみてください。
どんなに小さなアクションでも、その一歩が必ず農家を支え、地域を守り、子どもたちの未来へとつながっていきます。

今日も、あなたの食卓に「日本の恵み」が届きますように。
そして、これからも「おいしいね」と笑い合える未来が、ずっとずっと続きますように。

農家も、消費者も、地域も、みんながつながる「食べる喜び」を守るために。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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