売れない農家を卒業せよ!黒沢ファームに学ぶ“自分で売る覚悟”とは

売れない時代に「売れる農家」になる覚悟

目次

〜山形の米農家・黒沢ファームさんの挑戦を見て感じたこと〜

こんにちは。埼玉で小さないちご農園を営んでいる丹羽と申します。
今日は、ニュースで取り上げられていた「黒沢ファーム」さんの取り組みに大変感銘を受け、同じ「農家」という立場から感じたことをつづっていきたいと思います。


「売れるはず」と「売れる」の間には大きな壁がある

まず、黒沢ファームの黒沢さんの「農協出荷をやめて、直接販売に切り替えた」という決断。
これ、ニュースで見れば簡単そうに聞こえるかもしれませんが、農家なら誰しも一度は「自分で売ってみようかな」と考えるものの、実際に踏み出すのは本当に難しいんです。

私もいちご農家を始めた当初から、農協出荷や市場出荷という道を選ばず、「いちご狩り体験」というスタイルを選びました。
それは「いちごを自分の手で売りたい」「お客様の顔が見える商売をしたい」と思ったからです。

でも、実際には「美味しいものを作れば売れるはず」と思っていても、そう簡単にはお客様は来てくれない。

黒沢さんも「東京なら一軒一軒ピンポンすれば売れると思った」と語っていましたが、まさにその通り。


口コミこそ最大の営業力

黒沢ファームさんも最初は「営業しても相手にされなかった」と言っていました。
でも、口コミで評判が広まり、今では1000人以上の個人客や30の法人と直接取引するようになったそうです。

この「口コミ」が本当に大事だと、私も実感しています。

最初は1日数組だったお客様が、口コミやレビューをきっかけに増えていき、今では「毎年楽しみにしてるよ」「去年も来て美味しかったから、また来たよ」と言ってくださるお客様が少しずつ増えてきました。

広告や宣伝ももちろん大事ですが、実際に来てくれたお客様が「また行きたい」「誰かに教えたい」と思ってくれるかどうか。
これこそが、農家が生き残るための一番の力なんだと、黒沢さんの話を聞いて改めて思いました。


価格を決めるのは「自分」か「他人」か

黒沢さんは「最低でも1kg500円で売りたかった」と話していました。
でも、農協では200円から230円。
2倍以上の価格差です。

いちご農家も同じです。
市場出荷や農協出荷では、価格は完全に「相場」次第。
どんなに手間暇かけても、傷が一つでもあれば「B品」扱い。
売り値は決められません。

でも、いちご狩り体験なら、価格は自分で決められます。
もちろん、適正価格を守り、お客様に納得してもらえる品質と体験を提供することが前提ですが、「自分の価値を自分で決められる」商売ができることは、農家として大きなやりがいになります。

黒沢さんが「自分の米には2倍の価値がある」と信じて行動したこと。
これが結果的に「売れる農家」への道を切り開いたんだと思います。


流通の壁と中間マージン問題

黒沢さんは「1つのお米に3枚も4枚も伝票がくっつく」と言っていました。
私たちいちご農家も同じで、市場に出荷すると「手数料」「仲卸マージン」「小売マージン」…いろんなところで差し引かれ、最終的に手元に残る金額は本当にわずかです。

「農家は安く売って、消費者は高く買う」というこの構造、農家なら誰でも一度は疑問に思ったことがあるでしょう。

黒沢さんのように「間を飛び越えて、消費者に直接届ける」仕組みを作ること。
これは農家にとっても、消費者にとっても、本当は一番良い形なんじゃないかと、私も感じています。

もちろん、流通業者や小売業者も、それぞれ大切な役割があります。
ですが「本当に美味しいものを、適正価格で、必要な人に届ける」
この仕組みをもっと増やしていく必要があるのではないでしょうか。


国の政策と後継者問題

黒沢さんが語っていた「減反政策」や「生産調整」の話も、農家として心が痛くなる話でした。
国が農業を支援するための政策だったはずが、いつの間にか「作りたいものも作れない」「作っても売れない」状況を作ってしまっている…。

いちご農家も同じです。
農業は「儲からない」「大変」「後継者がいない」と言われ続け、私たちのような個人農家も「この先どう続けていくか」と日々悩んでいます。

でも、黒沢さんのご子息・琢磨さんが「父の姿がかっこよかった」と言って後を継いだ話を聞いて、本当に勇気をもらいました。
農家として「子どもに継がせたい」と思える農業、「子どもが継ぎたい」と思える農業を目指して、私ももう一度気持ちを新たにしたいと思います。


「売れる農家」は、自分で売る農家

今回、黒沢ファームさんの取り組みを知って、改めて実感したことがあります。
それは「売れる農家」は、待っているだけではなく「自分で売る農家」だということ。

誰かが助けてくれるのを待つのではなく、
「自分の作ったものに価値がある」と信じて、
一歩踏み出して、行動し続ける。

もちろん、簡単なことではありません。
でも、私も農家として、黒沢さんのように「売れる農家」になれるよう、これからも努力を続けていきたいと思います。

さいごに 〜農業の未来へ、一歩踏み出すために〜

黒沢ファームさんの取り組みを知り、私は正直、胸が熱くなりました。
「やっぱり農家はすごい」「農家はかっこいい」——そう思わせてくれたのです。
これまで農家というと、どこか「厳しい」「苦しい」「儲からない」というイメージばかりが先行し、若い世代や消費者からも敬遠されがちな職業だったかもしれません。

でも、黒沢さん親子のように、自分たちの価値を信じて、環境や制度に甘んじることなく、
「本当に美味しいものを、ちゃんとお客様に届ける」
そのために知恵を絞り、汗を流し、チャレンジし続ける姿は、私たち同じ農家から見ても本当に眩しいものでした。

農業にはまだまだ可能性があります。
大規模経営でなくても、個人農家であっても、工夫と努力次第で「選ばれる農家」になれる。
今まさに、そういう時代が来ていると強く感じました。

確かに、農業は簡単な仕事ではありません。
自然が相手、天候が相手、そして時代の流れや経済の波にも揉まれます。
「頑張っても報われない」と感じることも、正直、何度もあります。

でもそれでも、「また来年も、あなたのいちごを食べたい」と言ってくださるお客様がいる限り、私たちにはやるべきことがあります。

黒沢ファームさんがそうであったように、私たちも「誰かに必要とされる農家」であり続けるため、
もっと工夫して、もっと努力して、もっとお客様に寄り添った農業を目指していきたいと思います。

そして、もしこのブログを読んで、少しでも
「農家って、思ってたより面白そうだな」
「農家を応援したいな」
「いちご狩りに行ってみたいな」
そんなふうに感じていただけたら、ぜひ一度、私たちのいちご農園に遊びに来てください。

私たちが心を込めて育てた「完熟いちご」を、畑の中で、自分の手で摘み取って、
その場でガブッとかぶりつく——そんな特別な体験をご用意してお待ちしています。

農家の想いも、いちごの香りも、摘みたての甘さも、
きっとスーパーでは味わえない「本当の美味しさ」をお届けできるはずです。

「また来たい」と思っていただけるように、
「ここでしか味わえない」と思っていただけるように、
これからも一生懸命、いちごを育ててまいります。

ぜひ、あなたの“また来年”を、私たちの農園で作らせてください。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
また、どこかでお会いできる日を心より楽しみにしています。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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