【本音ブログ】埼玉いちごフィーバーを見て思うこと 〜吉見町 丹羽いちご園 園主・丹羽より〜
こんにちは。埼玉県比企郡吉見町でいちご農園を営んでおります、丹羽いちご園の丹羽です。
今日は、先日放送された日テレNEWS every.の特集「埼玉いちごに熱視線! 最高金賞あまりんが生産拡大…いちご狩り人気に 期待の新品種べにたまも」を拝見し、埼玉県内で同じくいちご作りに励む農家として、いちごの魅力、そして現場ならではの思いを正直に綴らせていただきたいと思います。
あまりん人気の裏側で思うこと
まず「あまりん」の人気、本当にすごいですね。
ニュースでは「一番人気」「入荷待ちのお客さん続出」「都内スーパーでも売り場拡大」と紹介されていて、私も一視聴者として、まるで自分のことのように嬉しくなりました。
実を言うと、実は私もあまりんをひっそりと栽培しています。でも、あえて「うちはあまりんやってます」と大々的に公表はしてきませんでした。
理由は簡単です。あまりんは、どうしても収穫量が少ないからです。
実際、ニュースでも触れられていましたが、あまりんは苗一本あたりに実るいちごの数が本当に少なく、例えば「紅ほっぺ」や「とちおとめ」など一般的な品種の半分以下、いやそれ以下しか採れないこともあります。
しかも、栽培に非常に気を使う品種で、気温や湿度、苗の管理、病害虫対策、どれをとっても簡単ではありません。
「これは大量生産向きではないな」と、栽培しながら痛感しています。
だからこそ、いくらお客様から「あまりんありませんか?」と聞かれても、今まで「うちはやっていません」とあえて控えめにしてきました。
正直に言えば、販売やいちご狩りに出せるほど数が揃わないことも多く、収穫しても一部のリピーターのお客様や、知る人ぞ知る常連さんにだけ静かにお届けしている、そんな存在なのです。
それでも、やっぱりあまりんの魅力は本物です。
あの濃厚な甘さ、一口食べた瞬間の感動は、農家の私でも「これはすごいな」と思います。
「お値段が高い」と言われることもありますが、手間や収穫量の少なさを考えれば、決して高すぎるわけではありません。むしろ、特別な日や、大切な人への贈り物にこそふさわしいいちごだと、自信を持って言えます。
私も今後、あまりんの株数を少しずつ増やして、いつか皆さんに「うちのあまりんもぜひ」と胸を張ってお届けできる日を目指して、日々研究を重ねているところです。
実はべにたまも栽培しています
そしてもう一つ、ニュースで紹介されていた新品種「べにたま」。
こちらも実は、私たち丹羽いちご園で既に栽培しております。
正直に言って、あまりんよりも生産性が高く、味も負けず劣らず素晴らしい品種です。
べにたまはその名の通り、外側は真っ赤で美しく、中身は真っ白。断面のコントラストがとても綺麗で、カットフルーツやスイーツのトッピングにも映える、まさに「見た目でも楽しませてくれるいちご」なんです。
でも、べにたまの魅力は見た目だけではありません。
実際に食べてみると、口いっぱいに果汁が広がり、あまりんのような「とにかく甘い!」というタイプとはまた違って、甘さの中に爽やかな酸味も感じられる、バランスの取れた味わいが特徴です。
ニュースでも「後味がすっきり」と紹介されていましたが、まさにその通りで、いくらでも食べたくなる軽やかさがあります。
私は「いちごは甘ければ甘いほど良い」という考え方だけではなく、甘さと酸味のバランスも大事だと思っています。
べにたまは、そのバランスが絶妙なんです。
実は、私も以前は「紅ほっぺ」や「とちおとめ」を多く栽培していましたが、べにたまに出会ってから「これは化ける」と確信し、栽培品種を見直しました。
まだまだ埼玉県内でも作っている農家は少なく、知名度もあまり高くありませんが、これから必ず人気が出る品種だと信じています。
当園でも、今シーズンからべにたまを本格的に販売・いちご狩りに取り入れていこうと準備を進めています。
もし「べにたま、食べてみたい!」という方がいらっしゃれば、ぜひ当園に足を運んでみてください。
あまり知られていない「希少なべにたま」を、ぜひいち早く味わっていただきたいと思っています。
かおりんについて
ちなみに、ニュースを見て「かおりんありますか?」と聞かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、
当園では現在「かおりん」の栽培は行っておりません。
かおりんも埼玉オリジナル品種として長く愛されていますし、香りの良さにファンも多い品種です。
ですが、農園の規模や管理体制を考えた時、あまりんやべにたまに集中して取り組む方針を選びました。
もちろん、他の農園さんが育てたかおりんも素晴らしいいちごだと思っています。
機会があればぜひ、いろいろな農園を巡って、いちごそれぞれの違いや個性を楽しんでいただけたらと思います。
いちご狩りは「品種」だけじゃない
ニュースでは「あまりん食べ放題コース」の話題もありましたが、いちご狩りは**「どの品種があるか」だけでなく、「どの農園に行くか」も大事なポイント**だと私は思っています。
農園ごとに育て方やこだわりが違いますし、同じ品種でも甘さや食感が変わることも珍しくありません。
また、農園の雰囲気や、そこで働く人との触れ合いも、いちご狩りの大きな魅力です。
せっかくのレジャーですから、どうせなら農園そのものを楽しんでいただきたい。
そして、いちご狩りのあとは、ぜひ農園の直売所にも立ち寄ってみてください。
その日、その場でしか出会えない「完熟いちご」が並んでいるかもしれません。
最後に
今回のニュースを通して、改めて埼玉いちごが全国から注目されていることに大きな喜びを感じるとともに、農家としての責任も感じています。
私たち丹羽いちご園も、吉見町から埼玉のいちご文化を支える一員として、これからも「特別ないちご」を皆様にお届けできるよう、努力を続けてまいります。
あまりん、べにたま、それぞれに魅力があります。
まだまだ知名度は低いかもしれませんが、これから必ず埼玉を代表するいちごとして、全国に広がっていくことでしょう。
その時、「実は昔からひそかに丹羽いちご園で育てていたんだよ」と、皆さんに誇らしくお伝えできる日を楽しみにしています。
それでは、またハウスで皆様にお会いできる日を楽しみにしております。
🔗 参考元リンクはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/88977be9a110777663db945c91b355bfba58b7f6/comments
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