一発解決?5大要素・微量要素オールインワン肥料に半信半疑だった苺農家の本音

「苺を愛する農家として聞き入った、QS肥料ランナー育苗法の魅力と現場のリアル」

〜埼玉県吉見町 丹羽いちご園 園主 丹羽より〜

こんにちは、埼玉県吉見町でいちご狩り農園を営んでおります「丹羽いちご園」の丹羽です。
本日は、いちご農家として、また一人のいちごを愛する職人として、先日拝見させていただいた「QS肥料を活用したランナー育苗法」に関する動画を見て感じたこと、そして実際の農家として思うことを、少し長くなりますが赤裸々に綴ってみたいと思います。

毎年いちごを育てて、30年以上。
私たち農家の世界では、年中同じ作業を繰り返しているように見えても、実は日々進化を続けており、試行錯誤、挑戦、研究の連続です。
「これが正解」というものがなく、天候・病気・気温・品種・土壌、すべてが絡み合う世界。
だからこそ、こうして新しい農法や肥料、技術に出会うたびに、我がことのように「どうなんだろう」と気になってしまうのです。

目次

QS肥料の総合力には正直驚いた

今回拝見した動画では、まずQS肥料の特徴について詳しく説明されていました。
肥料の5大要素「窒素・リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウム」に加え、微量要素までカバーできる設計。
これを聞いたとき、「本当にそこまで一本で済むの?」と、正直半信半疑でした。

いちご農家として、毎年必ず悩まされるのが「養分設計」と「与えるタイミング」です。
苗が弱すぎてもダメ、育ちすぎてもダメ。
甘みを乗せるには窒素を絞らなきゃいけないし、でも葉の勢いが落ちすぎても病気に負ける。
このさじ加減は、教科書通りにいかないのが現場なんです。

しかし、このQS肥料は、終盤まで使い続けても「無駄がなく、効果的」と言い切っている。
動画の説明を聞くと、アミノ酸やミネラル、カルシウム、ケイ酸をバランスよく含み、光合成を助け、病害虫耐性まで高めるとのこと。
もしこれが本当に現場で再現できるなら、農家にとってこれほどありがたいことはありません。

実際、私も過去に「これ一本で全部大丈夫」という触れ込みの商品に手を出し、うまくいかなかった経験があります。
だからこそ、今回の内容には期待半分、疑い半分というのが本音でした。

ランナー育苗のプロセスは現場目線でも納得

次に説明されていた「ランナー受け」の具体的な工程についても、とても興味深く拝見しました。
親株から30本ものランナーが取れるという話や、太郎苗・次郎苗・三郎苗の特徴についても、私たち農家にとっては日常の会話です。

太郎苗は、正直私たちも「使わない方がいい」と教わってきました。
葉が硬く、病気や障害が出やすいからです。
だから、動画で「次郎苗や三郎苗を選んでください」とアドバイスされていたのには、思わず「うん、そうそう」と頷いてしまいました。
特に、次郎苗は勢いがあって健全な苗が多い。これは全国共通の感覚だと思います。

また、水分条件をしっかり整えることでランナーの発生が促進されるという点も、まさに実感しています。
特に今年のように雨が少ない年は、ポットがすぐ乾く。
水管理を怠ると、せっかく出たランナーが「へにゃ…」と倒れてしまい、苗が台無しになることもあります。
動画で「水やりは特に注意」と強調されていたのは、農家なら誰しも「それな!」と共感した部分でしょう。

QS要面散布とその実践性について

個人的に一番気になったのは、「QS要面散布スタートキット」による葉面散布です。
週2〜3回、1000〜2000倍希釈の液肥を葉の両面にやさしく散布する。
動画では、これにより病気に強く、光合成効率もアップするとのこと。

ただ、現場の正直な感想としては、
「理想論としては素晴らしいが、これを全株に週2〜3回やるのは本当に現実的か?」
という疑問が湧きました。

確かに、葉面散布は非常に効果的です。
私も必要に応じて実践しています。
しかし、圃場の広さや作業時間を考えると、全ての苗にそれだけの頻度で丁寧に散布するのはかなりの労力。
人手不足に悩む農家にとっては、理屈では「やった方がいい」と分かっていても、実行に移せるかは別問題なのです。

特に、いちご農家の多くは「苗作り」「定植」「収穫」「接客(いちご狩り)」と、やることが盛りだくさん。
現実的には、もう少し手間を減らす工夫や、自動散布装置との組み合わせなど、次の提案が欲しいところだと感じました。

ケイ酸による病害虫耐性アップは興味深い

また、ケイ酸による細胞壁の強化や、光の反射による高効率な光合成という話も非常に興味深かったです。
うどんこ病や灰色カビ、ダニ、アブラムシ…。
いちご農家にとってこれらとの闘いは終わることがありません。

特に、化学農薬の使用回数制限が年々厳しくなる中で、こうした「物理的・生理的な耐性アップ」に期待するのは、私たちの生存戦略そのものです。
ただ、これも実際に自分の畑でやってみないと「どの程度の効果が出るのか」は分かりません。

動画では「病気や虫に強くなる」と強調されていましたが、農家としては「何割減らせるのか」「本当に防除回数を減らせるのか」といった、数字や具体例がもっと知りたいところです。

現場のリアルと未来への期待

とはいえ、今回の動画は、非常に具体的で、理論と実践がしっかり結びついている内容でした。
「農家目線で話してくれているな」と感じ、つい最後まで見入ってしまいました。

農家は、理論だけでなく「実際にどうやって作業に落とし込むか」を考える生き物です。
だからこそ、「これなら自分の農園でどう使えるだろうか?」と、つい想像してしまいます。

QS肥料や葉面散布の技術が、もっと多くの農家に実際の現場で検証され、成功事例や失敗事例がシェアされていくことを願っています。
その情報が蓄積されれば、やがて本当に「農家全体のスタンダード」になる日が来るかもしれません。

丹羽いちご園でも試してみたくなった

私自身、今回の内容を受けて「じゃあ、来年の苗作りの一部に導入してみようかな」と思っています。
全部を一気に変えるのはリスクが大きいですが、試験的に取り入れてみることで、自分の目で効果を確かめたい。
これもまた、農家としての探求心です。

最後に、農家の皆さん、そしていちご好きの皆さんへ。
こうして農業技術が進化し続ける背景には、たくさんの研究者やメーカー、そして挑戦を続ける農家仲間たちの努力があります。
私たち「丹羽いちご園」も、その一員として、これからも美味しいいちご作りに向き合い続けます。

ぜひ、来シーズンも吉見町のいちご狩りに遊びに来てくださいね。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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