いちご農家の私が「5月に始める夏の庭づくりガーデニング」を読んで思ったこと
こんにちは。埼玉県吉見町で家族経営の「丹羽いちご園」を営んでいる丹羽です。
いつも私のブログを楽しみにしてくださっている皆さん、ありがとうございます。
今回、ニュース記事「まだ間に合う!5月に始める夏の庭づくりガーデニング:花・野菜の植え方と管理術」を読ませていただきました。園芸のプロとして、そしていちご農家として、共感した点や、個人的に感じたことを正直に綴っていきたいと思います。
記事を読んでまず感じたのは「農家にとって5月は本当に勝負の月」ということです。この記事は主に家庭菜園やガーデニングを楽しむ方向けに書かれていると思いますが、我々農家も、5月は作業が山ほどあって、1日1日がとても大事な時期です。
土づくりの大切さに深く共感
記事の冒頭、「まずは庭の手入れから」という項目で、水回りや土壌づくりの重要性について触れていました。これは本当にその通りで、どんなに良い苗や種を植えても、土や環境が整っていなければ、良い作物は育ちません。
私たち苺農家も同じで、実はシーズンが終わる5月こそ、来年に向けた土づくりが始まります。いちご狩りのお客様が「これで今シーズンも終わりなんですね」と言ってくださるたびに、私たちの頭の中では「いや、ここから来年の準備がスタートするんですよ」と思っているものです(笑)。
具体的には、いちごの株を整理して、ビニールハウスの中の土壌を改良するために堆肥を混ぜたり、太陽熱消毒をしたりします。この記事にあった「堆肥の層を加えると効果的」「マルチング材を重ねると良い」という説明は、まさにその通りで、プロも同じようにやっています。
剪定や誘引作業の奥深さ
記事の中で「低木・高木・つる性植物」の剪定や誘引についても触れていましたね。これも、私たちいちご農家にとってはとても大事な作業です。
実はいちごにも「ランナー」と呼ばれるつるが伸びるんですよ。記事の最後に少しだけ触れられていましたが、このランナーをどう管理するかで、来年の収穫量や果実の質が変わってきます。
ランナーを放置すると、株がエネルギーを分散してしまい、実が小さくなったり、病気が出やすくなったりします。だから、5月中旬から下旬にかけて、来年用の親株を選抜し、それ以外のランナーはカットする作業を毎日続けます。
ガーデニングで「つるをトレリスに結び付ける」とありましたが、いちご農家も同じように、一本一本のランナーを丁寧に管理していくんですよ。家庭菜園とはスケールが違いますが、基本は同じだなあと感じました。
野菜作りといちご農家の意外な共通点
「夏野菜を植えよう」という項目も興味深く読みました。
トマト、ナス、ピーマン、キュウリ…このあたりは家庭菜園の王道ですよね。私も実は、自宅の畑で毎年夏野菜を少しだけ育てています。お客様に「農家さんは野菜も全部プロなんですよね?」なんて言われることもありますが、実は家庭菜園レベルですよ(笑)。
それでも、土づくりや水やり、剪定、誘引、害虫対策など、基本は同じです。
家庭菜園を始める皆さんにも、ぜひ「農家目線」でひとつだけアドバイスさせていただくとすれば、「苗選び」と「定植(植え付け)タイミング」にはぜひこだわってください。
記事でも「最低気温が安定して10℃を超えたタイミングがベスト」と書かれていましたが、まさにその通りで、焦って早く植えてしまうと、根が傷んだり、成長が遅れたりします。
農家仲間でも「5月10日までは我慢」「5月中旬が勝負」と口をそろえて言います。植えたい気持ちはわかりますが、ぜひ我慢強くタイミングを見極めてくださいね。
害虫対策のリアル
最後に「害虫駆除」についても記事にありましたね。これもまた共感ポイントでした。
いちご農家にとって最大の敵は「ナメクジ」と「ダニ」です。特にナメクジは夜行性なので、夜中に懐中電灯を持って駆除に出ることもあります。
記事には「罠を仕掛けたり、夜間に駆除」とありましたが、まさにその通り。農家は毎晩が戦いです。
また、フェロモントラップについても触れられていましたね。
果樹農家さんほど大規模ではありませんが、私たちもビニールハウス内に黄色の粘着トラップを設置して、害虫の発生を早めに察知するようにしています。
いちご狩り農家として思うこと
この記事を読みながら、ふと「家庭菜園やガーデニングを通じて、もっと多くの人が“農”に触れてくれたらいいな」と思いました。
丹羽いちご園には、毎年たくさんのお客様がいちご狩りに来てくださいます。小さなお子さんからお年寄りまで、「自分で摘んで食べる体験」はやっぱり特別なようで、みんな笑顔になります。
でも、そのいちごが育つまでには、この記事に書かれているような「土づくり」「剪定」「害虫駆除」「水管理」など、地味だけど大事な作業が山ほどあるんです。
ガーデニングを始めた方が、そんな農家の苦労や楽しさに少しでも共感してくれたら、私たちも嬉しい限りです。
ぜひ、夏野菜や花を育てるその手で、来シーズンは「いちご狩り」にも挑戦してみてください。
「育てる楽しさ」「収穫する喜び」を、もっと多くの人に知ってもらえたら、日本の農業も少しずつ元気になるんじゃないかと思っています。
まとめ
今回の記事は、農家の私から見ても「なるほど」とうなずくポイントがたくさんありました。
土づくり、水管理、剪定、誘引、肥料、害虫対策…プロもアマも、やるべきことは意外と同じなんですよね。
違いは、やる規模や目的だけ。家庭菜園の方も、農家も、植物と向き合う姿勢は同じです。
ぜひ皆さんも、この記事を参考にしながら、夏のガーデニングや家庭菜園を楽しんでください。
そして、吉見町のいちご狩りにも、ぜひ遊びに来てくださいね。
来年も甘くて美味しいいちごをお届けできるよう、私たちも5月からまた気を引き締めて頑張ります!
それではまた、次回のブログでお会いしましょう。
丹羽いちご園 丹羽より
🔗 参考元リンクはこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a05b98aad3e6e9eefd7b6dc8c7e5224d75ab8ff?page=1
コメント