2024年から続く「米不足」は、単なる一時的な天候不順ではなく、日本の農業政策全体に潜む“構造的な問題”の表れかもしれません。加えて、農家が頼りにしてきた「ふるさと納税制度」への制限や、「直販ルートの規制強化」は、地域農業の命綱を断ち切るような事態を招いています。
この記事では、「米不足」「ふるさと納税の制限」「農家の消滅危機」という3つの視点から、私たち消費者と日本農業に迫る本当の危機について深掘りし、今できる備えを提案します。
米不足の背景にある「構造的な問題」
猛暑と害虫だけではない、収量減の裏側
米不足の原因は天候や害虫だけではありません。最大の要因は、農業現場の構造的な変化です。
高齢化により熟練の農家が引退し、技術継承もままならない状態が続いています。若手の就農者は減少し、1人あたりの面積拡大によって効率が優先され、品質や収量が犠牲になるケースも。
例えば、猛暑で倒伏した稲の対処法を知らずに放置した結果、収穫ゼロという例もありました。
つまり、異常気象は“きっかけ”に過ぎず、真の問題は「継続可能な農業体制」の欠如にあります。
転売規制で正規価格すら疑われる農家
正当な価格で販売する農家が“転売”と誤解される事例が増えています。
政府による高値転売規制の強化が背景にあり、ネット販売の価格が世間の“相場感”とずれると、疑いの目が向けられやすくなっています。
たとえば、5kgで1万円のブランド米を農家が直販した際、「ぼったくり」と批判された例もあります。これは決して転売ではなく、コストや労力を考えた妥当な価格です。
農家が健全に経営していくには、消費者側にも価格の裏にある現場の事情を理解する姿勢が必要です。
ふるさと納税という“最後の砦”への規制
岡山県の事例に見る「制度の壁」
ふるさと納税の“3割ルール”が、農家の販路を奪う障壁となっています。
岡山県では、地域農業を守るための奨励金を加算したことで、返礼品の規定を超過し制度違反と判断されました。
この事例では60kgの米が2万5000円で提供されましたが、それは今年の市場価格として“普通”の水準。
それにもかかわらず制度から除外されたことで、地域農家は販路を失い、努力が水の泡に。
制度の見直しなくして、農業支援としてのふるさと納税の機能は果たせません。
3割ルールは農家にとって過酷すぎる(体験談付き)
返礼品の「3割ルール」は、農家にとって現実離れした制約になっています。
私自身、埼玉県吉見町でふるさと納税の返礼品としていちごを提供していましたが、制度の厳しさと手間から撤退を決意しました。
たとえば1万円の納税で、実際に農家に残る利益は数百円。包装や送料にかかるコストは年々上がり、「応援したい」と言ってくださる寄附者の善意に応えきれないジレンマがありました。
一見「PRにもなる」と思われがちですが、現場ではその費用対効果が年々悪化。続けたくても、赤字を垂れ流すわけにはいきません。
これでは制度参加のインセンティブがなく、やる気のある農家ほど撤退せざるを得ない構造です。
農業を本当に支援する制度へと見直さなければ、地方の食と経済を守ることはできません。
農家消滅の危機がもたらす未来
直販封鎖=経営モデルの崩壊
ネット直販の規制強化は、農家の経営基盤を直撃します。
これまで個人農家は、販路の乏しい中で「ネット販売」に希望を託していました。しかし転売対策という名目で出品制限が相次ぎ、合法的な直販まで封じられるケースが出ています。
たとえば、メルカリやYahoo!ショッピングで真面目に販売していた農家が、突如出品停止を受けた事例もあります。
これは農業の収益モデルを根底から覆すもので、結果的に「販路がない=継続不能」となり、廃業に直結します。
今のうちに「農家と繋がる」手段を確保
農家から直接購入できる“手段”を、今のうちに確保しておくことが重要です。
今後さらに販路が絞られたとき、信頼できる農家との個別ルートを持っているかどうかが、安定した食生活の鍵になります。
たとえば、地域の直売所、農家の定期購入便、InstagramやLINEでつながる購入サポートなど、消費者側から「農家にアクセス」できる関係構築が効果的です。
食のインフラが揺らぐ今こそ、「誰から買うか」を考え始めるタイミングです。
✅ Q&Aセクション
Q. なぜ今、米不足が起きているの?
A. 猛暑や害虫による収量減少に加え、農家の高齢化や後継者不足、買い取り価格の下落が影響しています。
一見すると天候要因に見えますが、背景には日本の農業構造のひずみが存在します。
Q. ふるさと納税はどうして規制されているの?
A. 返礼品の価格が「寄附額の3割以内」というルールが厳格化され、
農家が提供できる量や内容が制限されてしまっています。寄附者の満足度と農家の採算が合わず、多くの生産者が撤退を決めています。
Q. ネット通販が制限されると何が困るの?
A. 直販は農家にとって“命綱”です。
フリマサイトや通販サイトでの販売禁止により、農家が自力で販路を切り拓く手段が奪われつつあります。
このままでは収益悪化 → 離農が加速してしまいます。
Q. どうすれば農家を支援できる?
A. 地元の直売所、農家からの定期便、SNSを通じた購入などが有効です。
「誰から買うか?」を意識することで、食の安全と農家の経営を同時に守る行動になります。
Q. このままだと、農家は本当に消えてしまうの?
A. 実際に離農が進んでいます。
私自身、吉見町でふるさと納税を行っていましたが、収益性の限界と制度の壁から撤退しました。
販路がなければ、農家は続けたくても続けられません。

🟨 米不足・ふるさと納税制限・農家消滅の関係性を振り返りましょう。
- 近年の米不足は、気候変動だけでなく、農業構造そのものに問題があることを示しています。
- 頼みの綱だったふるさと納税も制度の壁により、農家にとっては厳しい現実となっています。
- その結果として、各地で農家の消滅危機が進んでおり、「農の現場」が崩壊しつつあるのが現実です。
📝 次に取るべき行動は?
- 地元の直売所や農家の定期購入に参加する
- 家庭菜園を始めるなど「自分で食を支える」意識を持つ
- 応援したい自治体のふるさと納税制度を確認する
私たちが選ぶ「購入先」や「行動」が、農業と食の未来を変える力になります。
🔗 参考元動画はこちら(YouTube)
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