いちごのランナーは切る?4月の正解と苗の増やし方

「いちごからひょろっとした茎が伸びてきたけど、これって切るの?それとも伸ばしておいていいの?」

春になると、そんな疑問を持つ方がぐっと増えます。この茎の正体は「ランナー」と呼ばれる走出枝です。放っておけば新しい苗が育つように見えますが、タイミングを間違えると今年の収穫に大きなダメージを与えてしまいます。

私は埼玉県吉見町でいちごを育てて7年になります。毎年この時期、農園を訪れる方から「ランナーはどうすればいいですか?」とよく聞かれます。実はこの判断ひとつで、今年のいちごの甘さと収穫量が大きく変わるんです。

この記事では、4月〜5月の収穫期における正しいランナーの扱い方と、収穫後に行う苗づくりのコツを、農家の実体験を交えながら詳しく解説します。今日からすぐに実践できる手順もまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

ランナーとは?いちごの走出枝の基本を理解しよう

ランナーとは、いちごの株元から横へ伸びる細長い茎のことです。「走出枝(そうしゅつし)」とも呼ばれ、その先に子株をつくる役割を持っています。

いちごは種から増えるよりも、このランナーを通じて株を増やすほうが自然な方法です。放っておくと次々と子株が育ち、翌年の苗になります。

ランナーはいちごが「仲間を増やそう」としている本能的なサインです。でも今がその時かどうかは、株が決めるのではなく私たち農家が決める必要があります。

ランナーが出はじめる時期

気温が10℃を超えはじめる春先(3月末〜4月)から、ランナーが勢いよく伸びはじめます。ちょうど花が咲いて実が大きくなる時期と重なるため、扱いに困る方が多いのです。

私の農園でも、4月に入るとランナーが週に2〜3本のペースで伸びてきます。放置しておくと気づいたときには株まわりがランナーだらけになっていることも。早めの対処が肝心です。

ランナーとわき芽の見分け方

初心者の方に多い間違いが、ランナーとわき芽(クラウンから出る新しい株)を混同してしまうことです。ランナーは細くて横へ這うように伸びるのが特徴。わき芽は株の中心(クラウン)付近に上向きに出てきます。

わき芽はそのまま育てると収量が増えますが、ランナーは収穫期には取り除く必要があります。見た目の違いを覚えておくことで、正しい判断ができるようになります。

4月〜5月の収穫中は迷わずランナーを切る

結論から言います。収穫期間中(4月〜5月)は、ランナーを見つけ次第、根元からすぐに切ってください。

この時期にランナーを伸ばしておくのは、実に向かうはずの栄養を横取りされるようなもの。農家としてはっきり言えます。「あとで切ればいいや」は禁物です。

栄養がランナーに奪われると実が小さくなる

いちごの株は、光合成で作った養分を「実を大きくする」か「ランナーを伸ばす」かに振り分けます。どちらも同時に全力でやることはできません。

実際に私の農園で試したことがあります。同じ品種の株を2グループに分け、片方はランナーを毎週切り、もう片方は放置しました。収穫した実を比べると、ランナーを放置したほうは実が2〜3割小さく、糖度も低めでした。

甘くて大きないちごを収穫したいなら、収穫期のランナーは敵だと思って切り続けること。これが農家の基本です。

切るタイミングは早ければ早いほどよい

ランナーが少し伸びた段階で切るほうが、株へのダメージが少なく済みます。長く伸びてから切ると、それまでに使われた栄養は戻ってきません。

週に1〜2回、株まわりを見回って伸びているランナーを見つけたらすぐに根元からハサミで切る。これを習慣にすることが大切です。

ハサミは必ず清潔なものを使いましょう。切り口から病原菌が入ることがあるため、使う前にアルコールなどで消毒する習慣をつけると安心です。

放置すると翌年の収穫にも影響が出る

収穫期にランナーを伸ばし続けると、株そのものが疲弊します。本来ならば収穫を終えた後にしっかり体力を回復させる時期が必要なのに、ランナーの成長に使いすぎた株は秋の植え付けシーズンに弱い状態で臨むことになります。

「今年だけでなく来年のためにもランナーは切る」という意識を持つことが、長く元気な株を育てるコツです。

ランナーを伸ばすのは収穫が終わった6月以降

では、いつランナーを伸ばせばいいのでしょうか?答えは「収穫が終わってから」です。

埼玉の露地栽培では、いちごの収穫はだいたい5月末〜6月初旬には落ち着きます。この時期を境に、株はランナーを積極的に伸ばすモードに入ります。

6月になったらランナーを切るのをやめ、今度は積極的に伸ばして苗づくりをスタートしましょう。これが農家として年間サイクルの基本です。

苗づくりに適したランナーの選び方

ランナーを伸ばして新しい苗を育てる場合、すべての子株が同じ品質というわけではありません。親株から直接出た最初の子株(一番子)は品質にばらつきが出やすく、親株の病気を引き継いでいる可能性もあります。

来年の苗づくりに適しているのは、二番子(親株→一番子→二番子)や三番子です。葉が3〜4枚ついた元気な子株を選びましょう。四番子・五番子になると今度は苗自体が弱くなるため、二〜三番子がベストゾーンです。

失敗しないランナーの苗づくり3つのコツ

①一番子(太郎苗)は使わない

親株に一番近い一番子(太郎苗)は、親株の病気(特に炭疽病)を引き継いでいる可能性が高く、発根も安定しないことがあります。

私の農園でも一番子を使って失敗したことがあります。見た目は元気そうだったのに、定植後にじわじわと弱って収量が出なかった年がありました。それ以来、一番子は使わないと決めています。手間でも二番子・三番子を選ぶことが来年の収穫への投資です。

②自根が出るまでランナーを切り離さない

子株が地面(またはポット)に触れて自分で根を出すまでは、ランナーが親株から水分と栄養を届ける命綱です。この段階で焦って切り離すと、子株が枯れてしまいます。

目安は、子株の葉が3〜4枚展開し、ポットの底から白い根が見えはじめたころ。それまではランナーをつないだまま育てましょう。「まだ早い」くらいのタイミングで待つのが失敗しないコツです。

③ポットに誘引して根を出させる

子株が地面に落ちた状態で育てると、秋に掘り起こすときに根を傷めることがあります。あらかじめ小さなポット(3〜4号)に培養土を入れ、子株をそのポットの上に置いてピンや石で固定すると、根が張りやすくなります。

ポット育苗にすることで、秋の植え付け時に根のダメージを最小限に抑えられます。移植のストレスが減り、定植後の活着もぐっとよくなります。

今日からできる4月のランナー管理アクション

以下の手順で、今すぐ始められます。

やること タイミング ポイント
ランナーを根元から切る 週1〜2回 清潔なハサミで根元から。アルコール消毒も忘れずに
花・実の状態を確認する 同時に実施 色づいた実はすぐ収穫、小さな実の成長も確認
追肥を行う 4月中旬〜 化成肥料を規定量。与えすぎに注意
水やりを確認する 晴れ続きのとき毎日 土の表面が乾いたらたっぷりと与える

特に大切なのは「ランナーを切る→実の成長を確認する」をセットで行うことです。実を見ることに集中していると、株元のランナーを見落としがちです。意識して株の根元まで目を向けるようにしましょう。

【農家のひとことメモ】4月は花・実・ランナーが同時に出てきてにぎやかな時期です。でも株が頑張れる量には限界があります。実を優先させてあげることが、今年の収穫を最大化する一番の近道です。

まとめ:4月はランナーを切って実に集中!苗づくりは6月から

今回の内容を整理します。

  • 4月〜5月の収穫中は、ランナーを見つけたらすぐ根元から切る
  • ランナーを放置すると栄養が奪われ、実が小さく・甘さも落ちる
  • 収穫が終わる6月以降にランナーを伸ばして苗づくりをスタート
  • 苗として使うのは一番子ではなく、二番子・三番子を選ぶ
  • 自根が出るまでランナーを切り離さず、ポット誘引が失敗しないコツ

ランナーひとつを切るかどうかの判断が、今年のいちごの味を決めます。ぜひ今週の見回りから実践してみてください。

いちごの追肥や水やり管理についてはこちらの記事もあわせてどうぞ▶

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