いちごの灰色かび病対策|農家が教える春の予防と治療法

「収穫する直前なのに、実が黒ずんできた……」

こんなご相談が、4月の雨が続く時期にいちばん増えます。ようやく赤くなってきたと思ったら、灰色のカビが実を覆ってしまう。せっかく育てたいちごが目の前で台無しになる悔しさは、農家の私にもよくわかります。

私は埼玉県吉見町で丹羽いちご園を営んでいます。灰色かび病はうどんこ病と並んで、いちご栽培のいちばんの難敵です。でも、正しい予防と早期対処ができれば、家庭菜園でも十分に防げます。

この記事では、灰色かび病が4月に急増する理由から、農家として毎年行っている具体的な予防と治療の方法まで、今日からすぐに実践できる内容でお伝えします。

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目次

いちごの灰色かび病とは?症状と見分け方

こんな症状が出たら灰色かび病を疑って

灰色かび病の最初のサインは、実や花に灰色っぽいカビのかたまりが現れることです。

最初は実の表面に小さな黒ずみや水がしみたような跡ができ、そこから灰色のカビが広がっていきます。放置すると実全体がカビに覆われ、腐ったようになってしまいます。

「実が腐る前に、まず花弁の変色から始まることが多い」というのが私の実感です。花が散った後の枯れた花弁が実に残っていると、そこから感染が始まります。

【灰色かび病のチェックリスト】

  • 実や茎の表面に灰色のカビがある
  • 実が腐ったように黒ずんでいる
  • 花弁が枯れたまま実についている
  • 葉に淡褐色の斑点が広がっている
  • 雨が続いた後に症状が出てきた

灰色かび病の原因菌と発生条件

灰色かび病を引き起こすのは、ボトリチス菌(Botrytis cinerea)と呼ばれる糸状菌です。

この菌が活発に動くのは、気温15〜25℃で湿度が高い環境です。4月の春雨が続く時期は、まさにこの条件がそろいます。菌は空気中を漂い、傷んだ組織や枯れた花弁から侵入します。

健康な実には感染しにくいですが、実が熟して柔らかくなる4月は特に感染しやすい時期です。収穫期が近づくほど注意が必要なのです。

4月に灰色かび病が急増する本当の理由

「雨が降ったから」と思いがちですが、根本的な原因はもっと深いところにあります。

4月は収穫の最盛期です。いちごが次々と実をつけ、花が咲き、散っていきます。この時期、枯れた花弁が実についたまま残りやすい状態になります。この花弁こそが、灰色かび病の感染源になります。

さらに、収穫期のいちごは実に栄養を集中させているため、株自体の抵抗力が落ちています。実が大きく柔らかくなればなるほど、菌が侵入しやすい状態になるのです。「収穫が近いほど感染リスクが上がる」というジレンマが、4月の灰色かび病対策を難しくしています。

灰色かび病が発生する3つの原因

原因① 枯れた花弁を放置している

灰色かび病の感染経路の第一位が、枯れた花弁の放置です。

いちごの花が咲き、受粉が終わると、花弁は枯れて落ちます。しかし、風が弱い日やハウス内では、花弁が実にくっついたまま残ることがあります。枯れた花弁は水分を含んで腐りやすく、そこから実に菌が侵入します。

実際に私の農園で試したところ、花弁を早めに取り除く「花かき」をするだけで、灰色かび病の発生率が大きく下がりました。わずかな作業ですが、効果は絶大です。

原因② 密植・換気不足による高湿度

灰色かび病は湿気を特に好む病気です。株の密植や換気不足で湿度が高まると、菌の繁殖が一気に加速します。

プランター栽培でよくあるのが、鉢の中で株が窮屈になってしまっているケースです。葉と葉が重なり合い、水やり後に水分が蒸発しにくくなると、株の周りに湿った空気が滞留します。

「風が通ること」がいちごの健康管理の基本です。地植えでもプランターでも、株間を意識して空気の流れを作ることが予防の第一歩になります。

原因③ 収穫し忘れた実の放置

意外と見落とされがちなのが、収穫し忘れた実の放置です。

4月の収穫期は実が次々に赤くなるため、葉の陰に隠れた実を取り忘れることがあります。そのまま放置すると実が過熟して柔らかくなり、菌の格好のすみかになります。

農家の世界では「畑に腐れを置かない」という言葉があります。傷んだ実が一つあるだけで、周囲の株に菌が広がるリスクが一気に上がります。

原因 確認ポイント すぐできる対策
枯れた花弁の放置 実に花弁がついていないか 指や筆で優しく払い落とす
密植・換気不足 葉が重なり合っていないか 株間を確保・下葉かきを行う
収穫し忘れの実 葉の陰に過熟した実がないか 毎日の巡回で早めに収穫する

農家が実践する灰色かび病の対策

予防の基本は「花かき」と「換気」

私が毎年4月に徹底しているのが、花かきと換気の組み合わせです。

花かきとは、受粉が終わった後の枯れた花弁を手や筆で払い落とす作業のことです。難しい技術は必要なく、1株あたり数分でできます。これを毎日の習慣にするだけで、灰色かび病の発生リスクが大幅に下がります。

「予防にかける1分は、治療にかける1時間に勝る」というのが、農家として長年やってきた私の実感です。

発生してしまったときの初期対応

灰色かび病を発見したら、まず感染した実や葉をすぐに取り除くのが最優先です。

取り除いた実や葉は、株の近くに捨てると再感染の原因になります。必ずビニール袋に密封して、燃えるゴミとして処分してください。その後、株周辺の換気を十分に行い、できれば殺菌剤を散布して感染の拡大を防ぎます。

「見つけたらすぐに取る」——これが感染を広げないいちばんの方法です。

家庭菜園で使える殺菌剤の選び方

市販の殺菌剤としては、有機農業にも使える「カリグリーン」がおすすめです。

カリグリーンの主成分は炭酸水素カリウムで、食品添加物としても使われる安全な成分です。灰色かび病に対しても一定の効果が認められています。また、収穫期でも使いやすい点が家庭菜園向きです。

薬剤散布は同じ薬を連続して使わず、7〜10日ごとにローテーションするのがポイントです。同じ薬を使い続けると菌が耐性を持つことがあるため、複数の薬剤を交互に使うことが推奨されています。

今日からできる!灰色かび病対策5ステップ

  1. 毎日の巡回で株の状態をチェックする(5分)
    実・花・葉に灰色のカビや黒ずみがないか確認する。早期発見が最大の防御です。
  2. 枯れた花弁を払い落とす「花かき」をする(10〜15分)
    受粉が終わった花の花弁を、指か筆で優しく払う。実に傷をつけないよう注意する。
  3. 下葉かきで風通しを改善する(15〜30分)
    古くなった葉や枯れ葉をはさみで切り取る。株元に光と風が入るようにする。
  4. 水やりは朝のうちに済ませる
    夕方以降の水やりは夜間の湿度を上げる原因になる。朝のうちに行い、日中に乾かすのが基本です。
  5. 収穫は毎日・早めに行う
    実が熟したら翌日以降に持ち越さない。葉の陰になっている実も必ずチェックする。

【私の農園での実体験】

数年前、4月の長雨が続いた年に灰色かび病が一気に広がったことがありました。花かきをさぼっていた列だけで集中して発生したのです。その後、花かきを毎日の作業に組み込んだところ、翌年以降の発生は激減しました。

「作業を省くと、あとで何倍もの手間がかかる」——灰色かび病がそれを教えてくれました。

まとめ|灰色かび病は「予防」と「早期発見」で乗り越えられる

いちごの灰色かび病は、4月の雨の多い時期に収穫期が重なることで発生しやすくなります。でも、日々の小さな積み重ね——花かき・換気・毎日の巡回——で十分に防ぐことができます。

今日からできることを一つにまとめると、「毎日5分、実と花の状態を確認する習慣をつけること」です。早期発見さえできれば、被害は最小限に抑えられます。

丹羽いちご園では、これからも家庭菜園の方に役立つ情報を発信していきます。ぜひほかの記事もご覧ください。

4月のいちご栽培に関するほかの病気対策については、こちらの記事もあわせてどうぞ▶
いちごのうどんこ病を春に防ぐ!農家直伝の予防と対策

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