いちご栽培で最初の勝負どころは「定植直後の活着管理」。
ここを疎かにすると、後の「根張り」や「収量・品質」にまで影響してしまいます。
この記事では、出田農園の実践例をもとに、いちご定植後に確実な活着を促し、強い根を育てるための具体的な管理ポイントを解説します。
特に、根回し水のやり方・促根資材の使い方・水と肥料のバランス調整など、プロ農家が実践する再現性の高い手法を紹介します。
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いちご定植直後に最も大切なのは「根回し水」
活着を左右する初期管理の重要性
定植後の最初の作業が「根回し水」です。
これは、ポットの土と圃場の土を一体化させるための水で、根が新しい環境に馴染むための“橋渡し”。
手作業で株元に丁寧に注ぐことがポイントで、チューブ灌水のみではムラが出やすく、根が張りにくい傾向があります。
根回し水の正しい与え方
1株ずつ、株元に直接水を差し込むように与えます。
ジョウロやホースの先を調整し、ポット土と圃場土の境目を中心に注水しましょう。
このときに**促根剤(例:ライゾ、バタヨン)**を混ぜると効果的です。
発酵菌が根の成長を助け、活着率を高めつつ管理回数を減らすことができます。
活着管理の次は「根造り」フェーズへ
水を切ることで根を探す動きを促す
活着が終わったら、次は「根を伸ばす」段階です。
根が十分に伸びない原因の多くは、水の与えすぎ。
やや水を切ることで、植物は水分を求めて根を深く広げようとします。
この調整が「根張り」を決める最大の分岐点です。
肥料設計のポイントはリン・カリ・マグネシウム
活着直後は窒素を控えめに。
リン酸とカリウム、マグネシウムを中心とした根系強化型の施肥設計に切り替えましょう。
これにより、葉の生長よりも根の発達を優先させ、安定した株姿をつくることができます。
根張りを支える資材活用と施肥例
促根資材を上手に組み合わせる
「ライゾー」「バタヨン」などの促根剤は、活着期の根圏環境を整えるのに有効。
さらに、微生物資材やアミノ酸系資材を加えることで、根毛の発達と養分吸収の効率が向上します。
点滴施肥の応用例
この時期は、肥料の希釈比をやや薄め(EC0.6~0.7)に設定し、リン重視で配合するのが理想。
活着期に避けるべき失敗例
窒素過多で葉ばかり成長する
活着期に窒素を多く与えると、地上部が先に成長してしまい、根のスイッチが入らない。
その結果、後半の根腐れや収量不安定につながります。
チューブ灌水のみで済ませる
自動灌水だけに頼ると、ポット土との隙間が埋まらず根が浮きやすい。
初期だけは人の手で水を与えることが、最も確実な活着管理です。
- 根回し水に使う促根剤のおすすめは?
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代表的なのは「ライゾー」「バタヨン」です。どちらも乳酸菌系や微生物発酵タイプで、根の呼吸と養分吸収を助けます。
- いちご定植後、どれくらいで根造りに移行すべき?
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定植からおおよそ10〜14日後が目安です。根が新しい土に馴染んだタイミングで、水の管理をやや厳しめにします。
- 活着管理で一番やってはいけないことは?
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過湿です。常に濡れている状態では、根が酸欠になり伸びません。乾湿のリズムを意識することが重要です。
- 根張りを良くする肥料の選び方は?
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リン酸が多い肥料を選びましょう。例:リン酸8%以上、窒素5%以下の配合が目安です。
- 点滴施肥と葉面散布は同時に行っていい?
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基本的には別日に行うのがおすすめです。根に集中させたい日は点滴、葉を育てたい日は葉面散布と分けて管理すると、効果が最大化します。
🧺まとめ|いちご定植後は“根を育てる期間”と心得よ
いちご定植後の活着管理は、見た目の成長よりも“根の成長”を優先するステージです。
「根回し水 → 活着 → 根造り」という流れを丁寧に行うことで、強い根張りと高品質な果実につながります。
今シーズンは、促根剤や点滴施肥を活用しながら、根を鍛える管理を実践してみましょう。
きっと次の花芽・収穫ステージでその差を実感できるはずです。
🔗 参考元動画はこちら(YouTube)
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