工場野菜より土のいちご!農家が明かす“本当の美味しさ”の裏側

  • はい、埼玉でいちご農園を営んでいる苺農家の丹羽です。
  • いつも私の感想ブログを楽しみにしてくださっている皆さん、ありがとうございます。
  • 本日は、先日拝見した「ベジコネチャンネル」の対談動画について、ひとりの農家として率直な気持ちを綴ってみたいと思います。少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

目次

■「農業に目覚めたデザイナー」の話を聞いて思ったこと

まず、今回登場されていた「農業に目覚めたデザイナー ともよしさん」のお話、とても共感する部分が多く、まるで自分が農業を始めた頃を思い出すような気持ちで聞かせていただきました。

「日本の食料自給率38%」
「農家の高齢化」
「食料危機が迫っているかもしれない不安」

私も同じようなニュースを見て、不安になったことを思い出しました。
正直、私がいちご農家を継ぐと決めた当初、周りからは「これから農業なんて儲からないぞ」「大変なだけだぞ」なんて言われたこともあります。それでも、「誰かがやらなきゃ、日本の農業はどうなってしまうんだろう」という思いが捨てきれず、家族と一緒にこの道を選びました。


■プランター栽培の話に「あるある」と頷く

動画の中で、プランターでじゃがいもを育ててみたお話がありましたよね。
小さなイモができた、虫がついた、日当たりや土の質に悩んだ…その「家庭菜園あるある」、本当に頷きっぱなしでした。

プロの農家と言えど、毎年必ずうまくいくわけじゃありません。
いちごだって、去年は甘くて大きないちごが作れたけれど、今年は天候不順や病気に悩まされたり…。
私たちだって「難しいな」と思うことは、正直しょっちゅうです。

それでも「うまくいかなかった原因は何か?」と試行錯誤を繰り返していくうちに、少しずつ土や天気、いちごの機嫌が読めるようになっていく。そのプロセスこそが、農業の本当の面白さなんじゃないかなと、改めて思いました。


■「虫が来るのは野菜が弱っている証拠」の考え方に深く共感

虫が来る=土が悪い
元気な野菜には虫が寄りつかない

この話、私もまさにその通りだと思っています。
うちのいちごも、畑の土の状態が悪いと、アブラムシやハダニが発生しやすくなります。でも、土づくりがうまくいっている時は、不思議と病害虫が減るんですよね。

農薬を全否定するつもりはありません。
私たちも、最低限の対策はしています。でも、根本は「土づくり」「植物の力を引き出す栽培方法」にこだわりたい。虫が来る前に、植物自身が元気でいられる環境を整えてあげることこそ、農家として一番大事な仕事だと思っています。


■「農業は自然との共存共生」

このフレーズ、まさに私が大切にしている考え方です。

人間の都合だけで自然をねじ伏せようとすると、必ずどこかでツケが回ってくる。
化学肥料や農薬だけに頼った栽培では、確かに短期的には効率的かもしれません。でも、長い目で見れば、土が痩せ、環境も壊れ、私たち農家自身が苦しむことになる。
だからこそ、自然と対話し、自然に寄り添い、共に生きる農業を目指していきたい。
そのために「草を全部取らない」「虫とある程度共存する」そんな農法に興味を持ってくださる方が増えているのは、農家として本当に嬉しいことです。


■「工場型農業」と「土に根ざした農業」の違い

動画でも話題に出ていましたが、最近は水耕栽培や工場で野菜を育てる技術が進んでいます。
確かに、あれはあれで一つの答えだと思います。安定供給や衛生面では優れていますから。

でも、やっぱり私は「土で育った作物」が好きです。
いちごだって、土から吸い上げる栄養や、太陽の光、季節の空気をたっぷり浴びて育ったからこそ、あの香りや甘さ、コクが出るんだと思っています。
工場育ちのいちごを否定はしませんが、「自然と一緒に育ったいちごの魅力」をもっと多くの人に知ってほしい。
その思いが、私が農家を続けている一番の理由です。


■「利益重視だけの農業」への違和感

これも強く共感しました。
確かに私たち農家も、生活がかかっていますから、売上や利益は大事です。
でも「利益さえ出ればいい」「見た目さえ良ければいい」「効率だけ追求すればいい」そんな考え方が広がることには、正直危機感を覚えています。

食べ物は、単なる「商品」じゃなくて、「人間の命を支えるもの」。
だからこそ、作り手の想い、土地の物語、文化や暮らしに根ざした「顔の見える農業」がもっと評価される社会になってほしい。
「高くても安心」「ちょっと不揃いでも美味しい」そんな価値観を持つ消費者が増えていくことを心から願っています。


■農業を通じて広がる「気づき」と「つながり」

最後に、動画で語られていた「まずは気づきから始めよう」というメッセージ、とても素晴らしいと思いました。
農業をやらない人でも、プランター一つ、ベランダ菜園一つ、やってみるだけで、スーパーの野菜のありがたみが変わるはずです。
野菜がどうやって育つのか、天候や土の影響を受けるのか、ほんの少しでも実感できたら、「安いから」「見た目がいいから」だけじゃない選択肢を考えるきっかけになると思います。

私も、いちご狩りを通じて、そういう気づきやつながりを広げたい。
「農家と消費者」じゃなくて、「作る人と食べる人」がお互いに顔を見て、言葉を交わせる場所をもっと増やしていきたい。
いちご狩りに来てくれたお客様が、「農業ってこんなに奥が深いんだ」「自分でも何か始めてみようかな」って思ってくれたら、それが私の一番の喜びです。

■おわりに

今回のベジコネチャンネル、
農家として、いちごを育てる現場に立つ者として、心から「見てよかった」と思える時間でした。

何よりも嬉しかったのは、「農業に目覚めたデザイナー ともよしさん」のように、
農家でもなければ、これまで農業に特別な縁がなかった方が、
自分ごととして「農業」と向き合ってくれている姿に、深く勇気をもらえたことです。

農家という仕事は、どうしても「自分たちだけが苦労している」という気持ちになりやすい世界です。
天候に泣かされ、害虫に悩まされ、収入が安定せず…
そんな日々の中で、ふと「こんな苦労、誰も分かってくれないんじゃないか」と、
思ってしまうことも正直あります。

でも、こうやって「農業は日本の未来や健康を支える大切な営みだ」と、
同じように考え、行動してくれる人がいる。
それがどれだけ心強く、ありがたいことか、言葉では言い尽くせません。

農家は、決して特別な人たちではありません。
あなたの隣にいる、誰かの父であり、母であり、子どもであり、同じ地域に生きる一人です。
だからこそ、「農家と消費者」という距離を、
少しでも近づけるような活動を、これからも続けていきたいと改めて思いました。

私たちが作るいちごも、そうです。
「甘くて美味しいから」「インスタ映えするから」だけじゃなく、
「どんな想いで、どんな苦労の中から、このいちごが生まれたのか」
そんな背景ごと、皆さんに味わってもらえるような農業を目指していきたい。

読者の皆さんも、ぜひ、今日という日から少しだけでも立ち止まって、
「自分が毎日口にしているもの」
「それを支えている農業や農家」
「日本の未来の食卓」
について、考えてみてください。

たった一人の気づきや行動が、やがて大きな波となり、
未来の日本を、もっと豊かに、もっと健やかに変えていく。
私は本気で、そう信じています。

また、農家として、いちごを育てる者として、
皆さんに少しでも「気づき」と「元気」を届けられるよう、
このブログや現場で発信を続けていきたいと思います。

それでは、また次回。
埼玉の苺農家、丹羽がお届けしました。

今日も、最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
あなたの食卓に、たくさんの笑顔と健康が届きますように。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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