「農地が自由に借りられない未来」に想う 〜丹羽いちご園からの声〜
こんにちは。埼玉県比企郡吉見町でいちご農園を営んでおります、「丹羽いちご園」の丹羽です。
今日のブログでは、農家として、そして一人の生活者としても非常に気になる内容を取り上げます。
それは、2025年4月から施行される農地貸借制度の変更についてです。
先日、YouTubeで【知らないと損する】農地制度変更で食料価格はどうなる?という動画を拝見しました。内容は非常に衝撃的で、現場に生きる私としては、ただの制度変更というよりも、“農業の根幹”が揺らぐ可能性がある大きな転換点だと感じました。
今回は、この動画を通じて感じたこと、農家としての危機感、そしてこれからの農業の在り方について、私の考えを正直に綴っていきたいと思います。
🧑🌾 自由に農地を借りられない現実がやってくる
動画で語られていた一番のポイントは、「農地の貸し借りが自由にできなくなる」ということです。これまでは、地主さんと農家の間で合意があれば、農地を借りることができていました。それが、2025年4月からは「中間管理機構」という国の機関を通さないとダメになるというのです。
しかも、その中間管理機構が策定する「地域計画」に沿っていないと、契約自体が認められない可能性もある…。つまり、地主と農家の間でどれだけ話し合っても、行政が「NO」と言えばすべてが水の泡になるのです。
農業は「自然相手のビジネス」です。タイミング、天候、土の状態など、ほんの些細なことで作物の出来が大きく変わります。そんな中で、「土地が使えるかどうかを行政の許可に委ねる」という制度は、現場の感覚からは大きくズレているように感じざるを得ません。

🍓 新規就農者が増える? いや、むしろ減る
私自身、昔から農業をしていた家系ではなく、脱サラして新規就農した身です。正直、農地を借りるまでには多くの苦労がありました。それでも、地主さんと信頼関係を築くことで、畑を貸してもらうことができました。
今回の制度変更では、この**「信頼関係」が無力化されてしまう恐れ**があります。仮に地主さんが「丹羽さんなら畑を任せたい」と思ってくれても、中間管理機構が「地域計画に合っていないからダメ」と言えば、それで終わりです。
新規で農業を始めようとする若者にとって、「農地を借りられる保証がない」というのは、かなり高いハードルです。これでは、ますます農業を志す人が減ってしまうのではないかと心配です。
🥬 食卓を守るために、現場の声を無視しないでほしい
動画の中では、「今後、質も量も担保されない農産物が増えるかもしれない」と警鐘が鳴らされていました。まさにその通りだと思います。
農地が自由に動かせない状況では、農家は「作りたいもの」や「得意なもの」ではなく、地域計画に合わせた作物しか作れなくなる可能性があります。たとえば、いちご農家が増えすぎて「この地域ではもういちごはダメ」となったら、私のような農園も経営が危うくなります。
さらに、行政の思惑で農業が動くと、「利益重視の大規模経営」に偏る危険性があります。化学肥料や農薬を多用して、とにかく大量生産するスタイルが増えれば、消費者が求める“安心・安全な食材”は減ってしまうかもしれません。

📈 米の価格高騰から見る未来
最近の米不足も、こうした行政主導の農業政策が背景にあると言われています。米の生産量を制限した結果、供給が追いつかず価格が跳ね上がった。それに似た現象が、今後は野菜、果物、肉、牛乳などあらゆる食材で起こる可能性があります。
つまり、農地制度の変更は「農家の問題」ではなく、「国民全体の食生活に直結する問題」だということです。
📝 「地域計画」に農家の声はあるのか?
中間管理機構が管理する「地域計画」というもの自体が、まだまだブラックボックスです。誰が、どういう基準で、何を決めているのか…。そこに現場の農家の声がどれほど反映されているのか、非常に疑問です。
特に、規模の小さな個人農家や家族経営の農園は、行政との接点も少なく、「地域の計画」から外されてしまうリスクもあります。それでは、多様な農業のあり方が失われてしまうのではないでしょうか。
🧭 私たちは、これから何をすべきか?
今回の制度変更を「時代の流れ」だと受け入れることもできるでしょう。しかし、農業というのは、「文化」であり「生活」であり「人の想い」で続いてきたものです。
だからこそ、現場の声をもっと反映した仕組みにしてほしいと切に願います。
行政にも農家にも、そして消費者にもメリットがある制度にしないと、結局は誰も得をしません。
私たち農家ができることは、これからも正直に情報を発信し、地元の方々と直接つながりを持ち、「顔の見える農業」を続けていくことだと思っています。
🍓 丹羽いちご園はこれからも「安心・美味しさ」を届けます
農地制度がどう変わろうとも、私たちのいちご作りへのこだわりは変わりません。
土づくり、品種の選定、甘さと香りへの探求、どれも手を抜かず、**「お子さんにも安心して食べてほしい」**という想いで日々いちごを育てています。
どうか、この制度変更の波に飲まれず、日本の農業が多様性と地域性を失わないよう、私たち一人一人が声を上げていきましょう。
農家の未来は、食卓の未来です。
そして、皆さんの「いただきます」の笑顔が、私たち農家の誇りなのです。
最後に
このテーマについて、皆さんの感想やご意見をぜひ聞かせてください。
そして、もし丹羽いちご園に興味を持っていただけたら、季節のいちご狩りや直売所にもぜひ遊びに来てくださいね!
お楽しみに!
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埼玉県吉見町 丹羽いちご園
ブログ担当:丹羽

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)
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