「儲からない農業」は終わりにしよう。和郷園から学ぶ“戦略農業”の極意

🍓一農家として思う、日本農業の本質と未来への希望 ~和郷園・木内社長のインタビューを聞いて~

今回は、農業界でも名の知られた「和郷園」の木内社長のインタビューを拝聴し、あまりに心を揺さぶられたので、いち農家の視点から、その感想と学び、そして私自身の気づきを綴らせていただきます。


■「農業をなめるな」ではなく、「農業を産業にせよ」

まず感じたのは、木内社長が常々おっしゃっていた「農業を甘やかすな」という言葉。これは決して冷たく聞こえるものではなく、むしろ私のように毎日土と向き合っている者にとっては、「その通り」としか言いようがありません。

「持続的に経営が維持される社会をつくらなきゃいけない」

この一言が、今回のインタビュー全体を通じて一番深く胸に刺さりました。

補助金でなんとか生き延びるのではなく、「自立した農業経営」をどう構築するか。この問いに対して、和郷園さんはBtoBに特化した戦略で、しかも全国・海外に広がるスキームでしっかりと応えている。

私たち果樹農家にとってはまだ遠い道のりかもしれませんが、「経営」という言葉をもっと真剣に考えなければならない時代に、いよいよ本格的に突入したのだと感じます。


■BtoBを極めるという発想

「うちは99% BtoBです」

この一言、農業界ではなかなか聞かれないですよね。私も直売所に卸したり、ECサイトで苺を個人向けに売ることが多いのですが、実際には価格競争が激しく、利益率は決して高くありません。

でも、和郷園さんのように「ブランドを作って選ばれる側に回る」という戦略を取るなら、BtoBも大きな可能性があるんだなと新たな視点を得ました。

苺農家としても、加工業者やホテル、菓子メーカーなどとの接点を広げ、安定的な供給と価格設定ができれば、今よりずっと計画的に経営を進められるはずです。


■フードコンビナートという革新

今回、インタビューで最も驚いたのは「フードコンビナート」という構想でした。

つまり、ただ野菜を作るだけでなく、それを「加工・保管・輸送・提供」まで一貫して支える拠点を、海外にまで展開するというスケールの大きさ!

例えば、私が育てている苺も、生で販売するだけでなく、ジュースやジャムに加工したり、冷凍で輸出するという道もある。

しかも、和郷園さんはすでにそれを“自分たちで”設計・投資し、実行している。これを「夢物語」で終わらせず、「投資と人材育成によって実現」しているのがすごい。


■セル方式の植物工場に見る、日本の技術の底力

さらに衝撃だったのが、独自開発された「セル方式」の植物工場。

従来のLED方式ではなく、単位ごとに完結するユニットを使い、金の発生を限りなくゼロに抑えた管理。これにより、収穫物が長持ちし、なおかつ非常に衛生的。

聞けば、セブンイレブンなどで販売されているサラダにも使われているとか。

苺にも応用できるとは限りませんが、「栽培技術と衛生管理技術の革新」が、農業を次の次元に押し上げているということは、私たち果樹農家も深く学ばなければならない点だと思いました。


■「再生産可能な価格設定」の重要性

「再生産価格を割る価格で売ってはいけない」

この言葉、涙が出るほど共感しました。

キャベツが100円で売られている一方で、消費者は20万円のiPhoneを気軽に買う。生きるための食べ物が、なぜこんなにも安く扱われてしまうのか。

私も、苺を出荷する際に、しばしば「こんなに手間暇かけてこの価格?」と思うことがあります。でも市場の価格に抗えず、結果として「赤字覚悟で出荷」という現実。

木内社長が提唱する「コストのトレーサビリティ」や、値札のないスーパーの話には、本当に感動しました。価格に対する“教育”が今の日本には絶対に必要です。


■後継者問題と「加工視点」の提案

そして、もうひとつ重要な示唆は「みかんを食べるんじゃなくて、飲もう」という発想。

果実農家にとって、“B品”や“規格外品”は常に頭の痛い問題です。でも、それを最初からジュースなどに加工する前提で商品設計するというのは、目から鱗でした。

我が家でも、傷あり苺やサイズ不揃いの苺が毎シーズン大量に出ます。これを「捨てるかジャムにするか」しか考えてこなかったけれど、もっと“飲む苺”や“冷凍加工”の方向へシフトすべきかもしれません。

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■結びに ~農業は「装置産業」、そして「戦略産業」へ~

インタビューの最後、木内社長はこうおっしゃいました。

「農業は装置産業なんです」

この言葉の重みを、私はこれほど実感したことはありませんでした。

農業は、もはや「天気任せ」「勘と経験」に頼る時代ではありません。
それは、道具やハウスだけの話ではなく、「経営としてどう設計し、どう仕組み化するか」という視点が求められる時代に入ったということです。

農業を本当に「産業」にするためには、投資・技術・人材・戦略という4つの柱が必要不可欠です。

機械やハウスにお金をかけるだけではなく、
その投資をどう活かすのか、どう回収していくのか。
どんな顧客に、どんなチャネルで届け、どんな価格で価値を認めてもらうのか。
さらには、どんな人と組み、どんな未来像を描いていくのか。

こうした「戦略思考」こそが、いま農業に必要なものだと、木内社長の言葉から痛感しました。


■農業を「点」で終わらせない、「線」で伸ばす経営

苺農家である私も、日々の作業に追われがちで、どうしても「今日の収穫」「今週の出荷」で手一杯になりがちです。
でもそれでは“点”の連続にしかならない。農業を「事業」として見たとき、“線”や“面”で広げていく思考が必要です。

和郷園さんはそのモデルを地道に、しかし確実に実現してきました。
それは単なる規模拡大ではなく、「仕組みの強化」だったと私は受け取りました。


■学びを恐れず、行動を止めない農業人であれ

木内社長の姿勢で何より印象的だったのは、“学ぶことをやめない”というスタンスです。

失敗を恐れずチャレンジし、ピンチをチャンスに変えてきたからこそ、今の和郷園がある。
そしてその裏には、「自分の目で見て、耳で聞き、頭で考える」行動力がありました。

このインタビューを通して、私自身も「農家」ではなく、
「農業経営者」としてどうあるべきか、輪郭が見えてきました。


■農業の未来は、まだ捨てたもんじゃない

今、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。

資材費の高騰、人手不足、円安、後継者不足、物流問題……。
現場にいる農家ほど、その重圧を肌で感じているでしょう。

でも、だからこそ今、変わるべきタイミングなのだと、このインタビューが教えてくれました。

日本の農業には、まだまだチャンスがある。
それは、「変わる意志」を持った人のもとにしか訪れないチャンスです。

これから農業を始めようとする人へ、
今まさに苦しんでいる若手農家の皆さんへ。

このインタビューは、きっとあなたの中に火を灯してくれるはずです。
その火を絶やさぬよう、共に学び、共に動き、共に未来を拓いていきましょう。


🍓最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この気づきを、これからの苺づくりに、そして農業経営のあり方にしっかりと生かしていきます。

農業は進化できる産業です。だから、私たちも進化し続けましょう。

🔗 参考元動画はこちら(YouTube)

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