いちごの電照栽培は、冬の短日と低温による休眠を避け、草勢を保ちながら収穫を続けるために、照明で日長を延ばす技術です。マイナビ農業の記事では、11月上旬ごろに始め、日長延長方式では夕方から3〜5時間ほど照明をつける方法が紹介されています。
丹羽いちご園では電照を行っていません。冬からいちごが出回る仕組みについては「いちごの旬はいつ?本来は春なのに冬から出回る理由を解説」でも紹介しています。
この記事でわかること
- 冬のいちご栽培で照明を使う目的
- 電照を始める時期と照明時間の目安
- 光源ごとの試験結果とコストの考え方
いちごの電照栽培とは?冬に明かりをつける理由
電照は、冬にもいちごの草勢を保つための長日処理です。大阪府の資料では、照明で光が当たる時間を延ばす方法と、保温や暖房によって温度を高くする方法が紹介されています。

冬は短日と低温で「休眠」に入る
大阪府の資料では、休眠はいちごが冬を乗り切るための性質と説明されています。休眠すると株は地面をはうようなロゼット状態になり、春まで新しい芽や葉が出なくなるため、冬の間は収穫できません。
休眠を避けて連続収穫するには、日照時間を長くするとともに温度を高くします。照明による長日処理に加え、二重被覆や暖房機による加温も用いられます。
冬の温度管理を含むハウスの環境制御については「いちごのハウス栽培を制する環境制御の基本」でも解説しています。
電照で「春だ」と思わせ、冬も草勢を保つ
大阪府の資料では、休眠させずに収穫を続けるため、日照時間と温度を調整して、いちごに冬ではなく春だと思わせる方法が示されています。電照だけでなく、温度管理も組み合わせる考え方です。
茨城県の資料では、電照は冬季の草勢維持のために普及していると説明されています。愛知県のマニュアルでも、低温で日長の短い冬期に株の矮化(小さくなること)を防ぐため、電照が行われるとされています。
大阪府の資料では、花芽分化の条件は低温・短日・低窒素で、9月下旬が最適とされています。一方、茨城県の資料では、冬季の電照は草勢を維持するための技術として説明されています。
花芽分化と冬季の電照は、資料上で示されている時期と目的が異なります。
花芽分化の条件については「いちごの花芽分化を促す夜明け前灌水のやり方」でも整理しています。
電照はいつから・何時間する?
開始時期や照明時間は一律ではなく、品種や電照方式によって異なります。公的な試験結果や資料の条件を確認して判断する必要があります。
開始は11月ごろ、終わりは2月〜3月ごろ
マイナビ農業の記事では、11月上旬から春先の2月ごろまで電照する農家が多いと紹介されています。一方、茨城県の「とちおとめ」を使った園研式高設栽培の試験では、11月13日から3月9日まで夕方延長方式で電照し、日長を12〜13時間程度にしています。
愛知県農業総合試験場のマニュアルでは、LED電照を始めて2〜3か月後に草勢が急に強くなる傾向が示されています。緑色の薄い春葉が立ち上がってきたら、早めに電照を終了する必要があるとされています。
電照方式は3種類
マイナビ農業の記事では、電照方式を日長延長方式、光中断方式、間欠電照方式の3種類に分けています。一晩中つけ続ける方法だけではなく、夜の一部だけ照らす方法もあります。

| 方式 | 内容 |
|---|---|
| 日長延長方式 | 夕方から3〜5時間、または早朝から1〜4時間照明をつける |
| 光中断方式 | 夜間に2〜4時間照明をつける |
| 間欠電照方式 | 夜間に1時間ごとに数分間照明をつける |
品種で必要な量が違う
愛知県農業総合試験場のマニュアルでは、白熱灯による日長延長の目安を「とちおとめ」は4時間、「ゆめのか」は3時間、「章姫」は2時間としています。
このように必要な電照量は品種によって異なります。すべての品種に同じ時間を当てはめるのではなく、栽培する品種に対応した資料を確認する必要があります。
電照で収量はどれくらい変わる?
茨城県農業総合センター園芸研究所の平成26年度の試験では、無電照区と比べ、LED・蛍光灯・白熱電球の各電照区で2月ごろから草高が高くなり、収量も増加しました。
合計換算収量は、無電照区が3.9t/10a、電照区が4.2〜4.9t/10aでした。照度60lx以上では光源の種類による差は見られず、蛍光灯は30lxで収量が少ない傾向でした。
ただし、これは「とちおとめ」を園研式高設栽培装置で栽培し、11月13日から3月9日まで夕方延長方式で日長を12〜13時間程度にした一つの試験結果です。光源は定植面から垂直距離1.4mに設置されており、すべての品種や栽培方式で同じ結果になるとは限りません。
光源とコストは?白熱電球からLEDへ
茨城県と愛知県の資料では、白熱電球の生産中止を背景に、蛍光灯やLEDを代替光源として検討しています。光源を比べるときは、電照効果だけでなく、電気料金や導入後の積算コストも確認します。
白熱電球の生産中止で代替光源が必要になった
茨城県の平成26年度の資料では、いちごの電照に使われてきた白熱電球が今後生産停止となるため、蛍光灯やLEDの利用が勧められています。
愛知県の平成25年10月のマニュアルでも、白熱灯が平成24年度以降に生産中止となり、入手が難しくなることから代替光源が必要になったと説明されています。
茨城県の「とちおとめ」を園研式高設栽培装置で栽培した試験では、照度60lx以上の条件で光源の種類による差が見られず、LEDと蛍光灯は白熱電球の代替光源になり得る結果が示されました。
ただし、同資料に記載された蛍光灯のW数は室温20℃のときの値です。低温時には照度が低下するため、冬のハウス内で必要な照度を確保できるか確認する必要があります。
愛知県の3品種の試験では620〜660nmのLEDが適していた
愛知県農業総合試験場は、「ゆめのか」「章姫」「とちおとめ」を対象に、波長の異なるLEDを比較しています。その試験では620〜660nmが適しており、444nmや518nmでは白熱灯と比べて葉柄が伸びず、電照効果があまり見られませんでした。
これは同試験で扱われた3品種の結果です。ほかの品種へそのまま当てはめるのではなく、栽培品種に対応した資料を確認する必要があります。
同マニュアルでは、LEDは電照開始直後に葉柄や草高の伸びが小さい場合がある一方、葉の展開速度とその後の収量は白熱灯と同等以上とされています。
電気料金は試算条件と機器価格を確認する
茨城県の試算は、電気料金18.15円/kWh、使用時間439時間、10a当たり80個を1年間使用する条件です。この条件での電気料金は、白熱電球が38,246円、蛍光灯が14,661円、LEDが5,227円でした。
電気料金と償却を考慮した光源単価を粗収益から差し引いた値は、すべての光源で同等でした。これは当時の試算条件による数値で、現在の電気料金や機器価格とは異なります。
愛知県のマニュアルでは、購入金額、耐用年数、電照時間を前提に、導入後4年でLEDと白熱灯の積算コスト差がなくなり、5年目以降はLEDのほうが低くなると試算しています。
実際に導入を判断するときは、資料掲載時ではなく、現在契約している電気料金と購入予定機器の価格・耐用年数で計算し直す必要があります。
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電照を導入する場合の光源の一例
いちご用として販売されている電照用のLED電球です。光の波長や照明時間は品種によって異なるため、購入前に商品ページの仕様と栽培している品種を確認してください。在庫によっては取り寄せになる場合があります。
電照が不要とされる品種や、電照しない農園もある
電照の必要性や適切な電照量は、品種や栽培条件によって異なります。静岡県農林技術研究所の2005年5月改訂版の資料では、「紅ほっぺ」は草勢が旺盛になりすぎるため、基本的に電照は必要ないと記載されています。
これは静岡県の同資料における「紅ほっぺ」の記述です。ほかの品種や地域、栽培方式へそのまま当てはめることはできません。
電照のやりすぎにも注意が必要です。マイナビ農業の記事では、電照の開始が早すぎると徒長や生殖成長の阻害が起こると説明されています。愛知県のマニュアルでも、LED電照を続けて草勢が強くなり始めた場合は、早めに終了するよう示されています。
丹羽いちご園では、暖房機でハウス内の気温を温め、温湯管で地温を温めて、冬から収穫できるようにしています。電照は行っていません。
丹羽いちご園が電照を行っていない理由は、この記事では扱っておらず、前述した品種の特性やコストとは結び付けて書いていません。
よくある質問
Q. 電照は一晩中つけっぱなしにしますか?
一晩中つけ続けるとは限りません。マイナビ農業の記事では、夕方から3〜5時間の日長延長、夜間に2〜4時間の光中断、夜間に1時間ごとに数分間つける間欠電照が紹介されています。
Q. 電照は何月まで続けますか?
マイナビ農業の記事では2月ごろまで実施する農家が多く、茨城県の「とちおとめ」を使った園研式高設栽培の試験では3月9日まで行っています。愛知県のマニュアルでは、春葉が立ち上がってきたら早めに終了するよう示されています。
Q. 花芽分化は短日で進むのに、電照で日を長くして大丈夫ですか?
大阪府の資料では、花芽分化の条件は低温・短日・低窒素で、9月下旬が最適とされています。一方、茨城県の資料では、冬季の電照は草勢を維持するために行われています。両資料では、花芽分化と冬季の電照が異なる時期・目的の管理として説明されています。
Q. 家庭菜園のいちごにも電照は必要ですか?
今回参照した資料だけでは、家庭菜園で電照が必要とも不要とも判断できません。大阪府と愛知県の資料では、電照は冬にも収穫を続ける促成栽培の技術として紹介されています。家庭菜園での具体的な方法や効果は、資料に書かれていません。
まとめ
いちごの電照栽培は、冬の短日と低温による休眠を避け、草勢を保つために、温度管理と組み合わせて日長を延ばす技術です。
開始は11月ごろが目安ですが、終了時期や照明時間は品種と方式によって異なります。
試験の収量やコストは品種、栽培方式、年度、試算条件を確認し、ほかの条件へそのまま当てはめないことが注意点です。
本記事は大阪府・茨城県・愛知県・静岡県の公開資料とマイナビ農業の記事をもとにAIが構成し、丹羽いちご園が内容を確認しています。