「農家もネット販売をやった方がいいですか?」と聞かれることがあります。
結論から言うと、ネット販売は販路を増やす手段としてかなり有効です。直売所やいちご狩りだけでは届かないお客さんにも商品を届けられますし、農園を知ってもらうきっかけにもなります。
ただし、始める前に知っておいてほしいことがあります。ネット販売は、商品を出せば勝手に売れる仕組みではありません。特に農産物は、販売ページの作り方、発送、手数料の見方でつまずきやすいです。
丹羽いちご園でも、ネット販売を考える中で「カゴ付きのWebページを自分で作るのは思ったより難しい」「いちごは輸送に向かない部分がある」「手数料を細かく見ないと利益が残らない」と感じてきました。
この記事では、これから農産物のネット販売を始めたい方に向けて、初心者が最初に考えるべき順番と注意点を、農家目線でわかりやすくまとめます。
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農家がネット販売を始める前に決めること
ネット販売というと、最初に「どのサービスを使うか」「どんなサイトを作るか」を考えがちです。
でも本当は、その前に決めるべきことがあります。
- 何を売るのか
- どの状態で届けるのか
- 誰に買ってほしいのか
- 発送に耐えられる商品なのか
- 手数料を引いても利益が残るのか
ここを決めずに販売ページだけ作ってしまうと、注文が入った後に困ります。
特に生鮮品は、売る前よりも売れた後の方が難しいです。発送日、梱包、温度管理、到着時の状態、クレーム対応まで考えておく必要があります。
初心者は「カゴ付きWebページ」をいきなり作らない方がいい
農家が自分でネット販売を始めようとすると、「自分のホームページにカート機能を付けたい」と考える方も多いと思います。
ただ、初心者がいきなりカゴ付きのWebページを作るのは、難易度が高いです。
理由は、見た目のページを作るだけでは終わらないからです。
| 必要なこと | つまずきやすい点 |
|---|---|
| 商品ページ | 写真、説明文、在庫、価格の管理が必要 |
| カート機能 | 数量変更、送料計算、注文確認が必要 |
| 決済 | クレジットカード、振込、手数料の確認が必要 |
| メール通知 | 注文確認、発送連絡、問い合わせ対応が必要 |
| 特定商取引法の表示 | 販売者情報や返品条件などの表示が必要 |
これを全部自分で整えるのは、農作業をしながらだとかなり大変です。
最初は、既存の販売サービスや予約フォーム、問い合わせ経由の販売など、小さく始める方が安全です。売れるかどうかがわからない段階で大きな仕組みを作ると、サイト作りに時間を取られて、本来やるべき栽培や販売改善が後回しになります。
農家のホームページを持つこと自体は大切です。考え方はこちらの記事でも書いています。
農家にホームページが必要な3つの理由
ネット販売で一番難しいのは発送
農産物のネット販売で、私が特に難しいと感じるのは発送です。
ページを作ることや注文を受けることよりも、届いた時に良い状態を保てるかの方が重要です。
いちごは特に難しいです。柔らかく、傷みやすく、温度変化にも弱いからです。農園で見た時はきれいでも、輸送中の揺れや積み方で状態が変わります。
しかも、配送品質はドライバーさんによって差が出ることがあります。とても丁寧に扱ってくれる方もいれば、そうではない方もいます。こちらがどれだけ丁寧に詰めても、輸送中に強い衝撃があれば、届いた時の印象は悪くなります。
お客さんから見ると、「配送中に傷んだ」のではなく「この農園の商品が傷んでいた」と感じられてしまいます。ここが怖いところです。
いちごを発送するなら最初に試験発送をする
いちごのような傷みやすい商品を発送するなら、いきなり販売する前に試験発送をした方がいいです。
- 家族や知人に送って状態を見てもらう
- 近い地域と遠い地域で到着状態を比べる
- 通常便とクール便で違いを見る
- 箱の中で実が動いていないか確認する
- 到着した時の写真を送ってもらう
この確認をせずに販売を始めると、クレームが出てから改善することになります。
配送会社にはクール便やチルド便などのサービスがあります。利用する場合は、最新の対応サイズ、温度帯、料金、送れる品目を公式ページで確認してください。
料金は変わることがありますし、地域やサイズでも変わります。記事の数字だけで判断せず、必ず公式情報を確認してください。
手数料を細かく見ないと利益が残らない
ネット販売で見落としやすいのが手数料です。
売上だけを見ると、「ネット販売は単価が高くて良さそう」と感じます。でも、実際にはいろいろな費用が引かれます。
- 販売サービスの手数料
- 決済手数料
- 振込手数料
- 送料
- 梱包資材代
- 保冷剤や緩衝材
- 発送作業の人件費
- 返品・再送対応の費用
これを入れずに価格を決めると、売れているのに手元に残らない状態になります。
農業はもともと設備投資や資材費が大きい仕事です。売上があっても手元に残らない感覚については、こちらの記事でも書いています。
脱サラ農家の年収の現実|売上があっても手元に残らない理由
価格を決める時は「手残り」から逆算する
ネット販売の価格は、周りの相場だけで決めない方がいいです。
大事なのは、売上ではなく手元に残るお金です。
| 見る項目 | 確認すること |
|---|---|
| 商品代 | 収穫・選別・箱詰めまで含めて見合う価格か |
| 送料 | 誰が負担するのか、地域差をどうするか |
| 梱包費 | 箱、緩衝材、シール、保冷材を含めているか |
| 手数料 | 販売サービス、決済、振込の費用を確認したか |
| 再送リスク | 破損や傷みが出た時の対応費を考えているか |
たとえば、3,000円で売れたとしても、送料・箱代・手数料・作業時間を引くと、思ったより残らないことがあります。
最初は「1件売れたらいくら残るか」を紙に書いて計算するのがおすすめです。ざっくりではなく、細かく見た方がいいです。
初心者におすすめの始め方
農家がネット販売を始めるなら、私は次の順番がいいと思います。
- まず直売やいちご狩りで買ってくれるお客さんを作る
- 発送しやすい商品から試す
- 少量だけ試験販売する
- 到着状態と手残りを確認する
- 問題がなければ販売ページを整える
いきなり全国に向けて販売するより、まずは信頼関係のあるお客さんに小さく試す方が安全です。
直売といちご狩りは相性が良いです。いちご狩りで農園を知ってくれた方が、帰りに直売を買ってくれる流れが作れます。詳しくはこちらの記事でまとめています。
農家が直売を始める方法|いちご狩りと相性がいい理由と売り方のコツ
ネット販売も同じで、知らない人にいきなり売るより、農園のことを知っている人に買ってもらう方が始めやすいです。
発送に向く商品と向かない商品を分ける
農産物は、すべてがネット販売に向いているわけではありません。
いちごのように柔らかいものは難易度が高いです。一方で、加工品や日持ちする商品は比較的始めやすいです。
| 商品タイプ | ネット販売の難易度 | 理由 |
|---|---|---|
| 生のいちご | 高い | 傷みやすく、輸送中の揺れに弱い |
| 冷凍いちご | 中〜高 | 温度管理と送料の確認が必要 |
| ジャムなど加工品 | 中 | 表示や許可、賞味期限管理が必要 |
| 苗・資材 | 商品による | 梱包と到着後の状態確認が必要 |
「売りたいもの」ではなく、「きれいな状態で届けられるもの」から考えるのが大切です。
法律表示も忘れない
ネット販売では、販売者情報や返品条件などの表示も必要になります。
通信販売では、特定商取引法に基づく表示が関係します。販売者名、所在地、連絡先、支払い方法、返品条件などをきちんと確認しておきましょう。
詳しくは、消費者庁の公式情報を確認してください。
消費者庁:特定商取引法ガイド
農産物や加工品を販売する場合は、食品表示や営業許可が関係する場合もあります。加工品を扱う時は、地域の保健所や自治体にも確認しておくと安心です。
農家のネット販売は「販路のひとつ」と考える
ネット販売は強い販路になります。
ただし、ネット販売だけに頼るのは危険です。直売、いちご狩り、飲食店、地域の販売先、ネット販売など、複数の販路を持つ方が安定します。
新規就農で大切なのは、作ることだけではなく出口戦略です。どこで、誰に、どう売るのかを先に考えておく必要があります。
新規就農で失敗する原因は出口戦略にある
ネット販売は、その出口のひとつです。うまく使えば強いですが、発送と手数料を甘く見ると苦しくなります。
まとめ:ネット販売は小さく試してから広げる
農家がネット販売を始める時のポイントをまとめます。
- いきなりカゴ付きWebページを作るのは難易度が高い
- 最初は既存サービスや小さな予約販売から試す
- いちごは輸送が難しいので、必ず試験発送する
- ドライバーや輸送状況で商品の状態が変わることがある
- 販売手数料、決済手数料、送料、梱包費を細かく見る
- 売上ではなく手残りで判断する
- ネット販売は直売やいちご狩りと組み合わせると強い
ネット販売は、農家にとって大きな可能性があります。
でも、最初から完璧な仕組みを作ろうとしなくて大丈夫です。まずは少量で試して、発送状態を確認して、手元にいくら残るかを見てから広げていく。その方が失敗しにくいです。
丹羽いちご園としても、ネット販売は「売る場所を増やす」というより、「農園を知ってくれた人に、良い状態で届ける方法を整える」ものだと考えています。
焦らず、小さく始めて、数字とお客さんの反応を見ながら育てていきましょう。
農家の販売導線を作るなら、まずはホームページも大切です。
ネット販売の前に、農園の考え方・商品・販売時期を伝える場所があると、お客さんに安心してもらいやすくなります。
ブログや農園サイトを作るなら、レンタルサーバーを使ってWordPressで始める方法もあります。
※この記事は、丹羽いちご園の実体験と公開情報をもとに、AIを活用して構成・下書きを作成し、内容を確認して公開しています。

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