マナーが悪い客の対処法|いちご農園の現場から学ぶ顧客対応術
2020年、茨城県のとあるいちご農園がTwitterに投稿した写真が世間を騒がせました。そこには、先端の甘い部分だけを食べて捨てられたいちごが山のように映っていたのです。今回はその出来事をもとに、マナーの悪い客の対処法について、ポッドキャスト番組「西村豪庸の『社長工場』」の第86回の内容を踏まえて解説します。
目次
マナーの悪い客を排除するには
話題となったいちご農園では、1人1500円で時間無制限のいちご狩りを提供していました。しかし一部の客は、先端だけを食べる“贅沢食い”や、いちごを投げ合うなど、非常識な行動を取り、農園側の努力を踏みにじる結果に。
このような問題への対処として、番組内で経営コンサルタントの西村豪庸氏は「単価を上げる」という提案をしています。具体的には、3000円〜4000円といった価格帯に設定することで、軽い気持ちで訪れるマナーの悪い客層を自然にフィルターできるという考え方です。
これは、航空業界における有名なジョークにも通じる話です。エコノミーに乗る客ほど「私は客よ」と主張しがちだが、ファーストクラスの客は「プライベートジェットじゃないんで」と謙遜する傾向がある、というものです。
いちご狩り客のマナー問題は、ユーザー側だけの問題ではない
西村氏は、問題の根本は農園側にもあると指摘します。いちご狩りは出荷シーズンが終わった後の「オフシーズン」に行われることが多く、本来は廃棄対象となるいちごを活用するビジネスモデルです。
そのため、農園側もマインドとして「ゴミになるよりはマシ」と考えているケースが多く、サービス品質の向上や顧客管理の意識が希薄になりがちです。このマインドセットが、結果的にマナーの悪い客の行動を助長してしまう可能性があるのです。
西村工場長なら、どう対処するか
対処法として西村氏が提示したのは、価格の引き上げと登録制の導入です。既存のマナー良好なリピーターには、会員証を発行して割引を提供。一方で、新規の来場者には高めの価格設定を適用することで、不適切な客層の排除を目指します。
このようにして、上顧客を維持しつつ、望ましくない顧客を自然に減らす工夫が必要だというのが彼の見解です。また、登録制を通じてファン化を促進することも、長期的なブランド戦略として有効です。
お客様は本当に神様なのか
「お客様は神様です」という言葉は、日本の接客業においては常套句ですが、西村氏は「すべての神様が福の神とは限らない」と語ります。中には“貧乏神”のような存在もおり、むやみに迎合するべきではないと警鐘を鳴らします。
さらに、彼のソムリエの先輩の言葉を引用し、「判定負けを狙え」というアプローチも紹介されました。これは、クレーマーに対して正面から対抗するのではなく、最小限のリスクで“負けたように見せる”ことで、余計なトラブルを回避するテクニックです。
まとめ
マナーの悪い客への対処は、一時的な対症療法ではなく、ビジネスモデルや価格設定、顧客管理の仕組みを見直すことから始まります。
- 単価を上げて客層を選別する
- 登録制・会員制で上顧客を囲い込む
- 農園側のマインドも見直す
- 「神様=全て良客」という思い込みを捨てる
いちご農園だけでなく、あらゆる接客業において活用できる知見です。価格やサービス設計を通じて、顧客の質を高め、事業全体の質も引き上げることが、長く続く経営の秘訣といえるでしょう。
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