いちごのランナーはいつ切る?春の収穫を守る管理術

春になると、いちごの株からひょろっと細い茎が伸びてくることに気づいた方も多いのではないでしょうか。あれが「ランナー」です。ランナーは放っておくと株全体に広がり、「これは切るべきなのか、そのままにすべきなのか」と迷う方がたくさんいます。

私が埼玉県吉見町でいちご農園を運営してきた経験からはっきりお伝えできます。ランナーの管理を間違えると、今年の収穫量が大幅に落ちます。

特に今の時期(4〜5月)は収穫の真っ最中です。この時期のランナー管理は、いちごの甘さや大きさに直結します。正しいタイミングで切るかどうかが、今年の収穫を左右すると言っても過言ではありません。

この記事では、春の収穫期にやるべきランナー管理と、収穫が終わった後の苗の増やし方まで、農家として実践している方法をくわしくご説明します。

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目次

ランナーを切るタイミングはいつ?

収穫期間中は「見つけたらすぐ切る」が鉄則

収穫期(3〜6月)に伸びてくるランナーは、見つけた瞬間に切るのが正解です。いちごは授粉してから実が熟すまでに、40〜50日もかけて栄養を蓄えます。その大切な期間にランナーを放置すると、実に行くはずの栄養が奪われてしまうのです。

私の農園では、毎朝の収穫回りのついでに、ランナーが出ていないか必ず確認しています。少しでも伸びていれば、その場でハサミを入れます。「もう少し様子を見よう」は禁物です。

家庭菜園でも考え方は同じです。週に1〜2回、ランナーが出ていないかチェックする習慣をつけることが、甘くて大きないちごを育てる第一歩になります。

ランナーを残してよい時期は6月以降

苗を増やしたいなら、収穫がほぼ終わった6月以降にランナーを伸ばし始めましょう。収穫の最盛期を過ぎると、いちごの株は「実をつくるモード」から「仲間を増やすモード」に切り替わります。このタイミングが苗作りのスタートです。

私も毎年6月になったら、特に元気な親株を選んでランナーを伸ばし始めます。理由は単純で、収穫量が多かった株の性質は子株にも引き継がれるからです。たくさん実をつけた「優秀な親株」から苗を取ることが、翌年の収穫を豊かにする近道なのです。

ランナーを放置するとどうなるか

果実が小さく、甘さが落ちる

ランナーを放置すると、いちごの実は小さく、酸味が強くなります。いちごの株が一度に使えるエネルギーには限りがあります。実の成長とランナーの成長が同時に起こると、栄養が分散してしまうのです。

実際に私の農園で試したことがあります。収穫期にあえてランナーを残した株と、こまめに切った株とを比べると、放置した株のいちごは明らかに小ぶりで、糖度も低くなっていました。データで見るまでもなく、食べ比べると一目瞭然でした。

家庭菜園で「今年はなぜかいちごが小さい」と感じたとき、ランナーの管理が原因のひとつになっていることはよくあります。ぜひ一度、株元を確認してみてください。

親株が弱る原因にもなる

ランナーを放置し続けると、親株そのものが弱ってしまいます。いちごの株は、ランナーを通じて子株に栄養を送り続けます。子株が増えるほど、親株の負担は大きくなるのです。

私が経験した失敗談をひとつご紹介します。農園を始めたばかりの頃、「ランナーが出ていれば苗が増えてラッキー」と思い、収穫期中も放置していたことがあります。その年の秋には、いくつかの親株が枯れかけていました。ランナーを出しすぎて体力を使い果たしたのです。

いちごの株を長く健康に保つためにも、収穫期はランナーをこまめに切ることが大切です。

ランナーが多すぎると病気が広がる

ランナーが多すぎると株間の風通しが悪くなり、病気が発生しやすくなります。特にうどんこ病や灰色かび病は、湿気がこもった環境で一気に広がります。ランナーが地面を覆ってしまうと、その下は常に湿った状態になりがちです。

私の農園では、ランナーの管理と同時に、古くなった葉の取り除き(摘葉)もセットで行っています。株元の風通しを良くすることが、病気の予防にもつながるからです。

正しいランナーの切り方・切る位置

切る位置は「親株のすぐそば」

ランナーは親株のクラウン(株元の王冠状の部分)のすぐそばで切るのが正しい位置です。ランナーを途中で切っても、残った部分からまたランナーが伸びてくることがあります。できる限り株元に近い場所で切り取りましょう。

使う道具は、清潔なハサミがベストです。切り口から病気が入ることがあるので、使う前にアルコールで刃を拭いておく習慣をつけましょう。私はいつもエタノールスプレーを農具入れに一本入れています。

ランナーと葉茎の見分け方

ランナーと葉茎を見分けるコツは「葉がついているかどうか」です。葉がついていれば葉茎、ついていなければランナーです。初めて育てる方でも、これを覚えておけば迷うことはありません。

ランナーの先には小さな葉のかたまり(子株)ができます。収穫期中はそこまで伸びる前に切るのが理想ですが、すでに子株ができていても、収穫期中であれば切り取ってしまいましょう。

時期ランナーの扱い方理由
3〜6月(収穫期)見つけ次第すぐ切る果実への栄養を守るため
6月〜(収穫後)元気な親株のランナーを伸ばす翌年の苗作りのため
8月以降根が張ったら子株を切り離す苗の根張りを確認してから

収穫後のランナー活用法:苗の増やし方

子株・孫株の見分け方と正しい選び方

苗として使うのは「孫株」か「ひ孫株」が基本です。親株から最初に出る「子株」は、親の病気を受け継いでいる可能性が高いため、栽培用としては向きません。2番目以降の孫株・ひ孫株が健康な苗になりやすいのです。

私は毎年、葉が3〜4枚ついていて、茎がしっかりしている株を選んでいます。見た目が元気な株を選ぶのは当然ですが、前の年にたくさん実をつけた親株のランナーから選ぶことを優先しています。実が多かった親株の性質は子株にも引き継がれるからです。

ポットへの固定と発根の促し方

子株をポットに根づかせるときは、クラウン(株元)を土に埋めないことが最大のポイントです。クラウンには成長点があるため、深く埋めると土に隠れて新芽が伸びにくくなってしまいます。浅植えを心がけましょう。

3号ポット(直径9cm程度)に培養土を入れ、子株をそっと乗せます。UピンやLピンなどで株が動かないように固定し、親株とのランナーはまだ切りません。根が十分に張るまで、親株から栄養をもらわせてあげましょう。

根が張ったかどうかは、軽く株を持ち上げてみて抵抗感があるかどうかで判断できます。しっかり根が張ったと感じたら、ランナーを子株のすぐそばで切り離します。切り離す前に、土を少し乾かして株に刺激を与えると発根が促されます。

夏の苗管理で気をつけること

いちごは暑さが苦手なので、夏の苗管理には工夫が必要です。栽培適温は18〜25℃ほど。真夏の直射日光は避け、明るい日陰か、できれば涼しい室内の窓際で管理するのが理想です。

私の農園では、苗に遮光ネット(50%程度)を使って、暑い日の直射日光を和らげています。水やりは朝と夕方の2回が基本で、土が乾ききる前に与えるようにしています。

また、週に1回程度、古くなった葉を取り除く「摘葉作業」を続けると、クラウンが充実した大苗に育ちます。小指ほどの太さのクラウンを目指して、秋の植え付けまでしっかり育てましょう。

切り口からの病気を防ぐ方法

切り口からいちご炭疽病などの病気が入ることがあるので、切った後の管理も大切です。ランナーを切るときは、切り口が地面に触れないよう、少しランナーを残して切るのがポイントです。傷口と土の距離を保つことで、病原菌の侵入を防ぎます。

雨の日や湿度が高い日の作業は避けるようにしています。切り口が濡れた状態だと、病原菌が入りやすくなるからです。晴れた日の午前中に作業するのが、私の経験からのおすすめです。

まとめ:春のランナー管理で今年の収穫を守ろう

いちごのランナー管理は、時期によって正反対の対応が必要です。ここで一度整理しておきましょう。

  • 収穫期(3〜6月):ランナーは見つけ次第すぐに切る
  • 収穫後(6月〜):元気な親株のランナーを伸ばして苗を取る
  • 苗の選別:孫株・ひ孫株を優先し、クラウンを埋めずに浅植えする
  • 夏の管理:遮光と摘葉でクラウンを充実させ、秋の植え付けに備える

「ランナーを切るだけでいちごが変わる」これは本当のことです。農園を始めた頃にランナー管理の重要性を知らなかったために、何年か損をしたと正直に感じています。この記事をきっかけに、今日からランナーをこまめに確認してみてください。きっと今年の収穫が違ってきます。

いちごの施肥や追肥のタイミングについても気になる方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。

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