埼玉県でいちご農家になりたいと考えているなら、最初に選ぶ品種で経営の有利不利が大きく変わります。丹羽いちご園を営む中で実感しているのは、県が育成した品種を選ぶと、補助金など行政サポートを受けやすく、就農後のスタートダッシュがしやすいということです。
この記事では埼玉県育成の3品種(あまりん・かおりん・べにたま)の特徴と、令和8年度に実施されている補助金事業の詳細を紹介します。新規就農を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
埼玉県育成3品種の特徴
埼玉県には県が独自に育成したいちご品種が複数あります。その中でも特に注目すべき3品種を紹介します。
あまりん
あまりんは埼玉県のオリジナル品種で、最大の特徴は糖度の高さと濃厚な甘さです。他の品種と比べると収穫量は少なめですが、その分単価が高く、高付加価値な販売戦略が取りやすい品種です。
色の変化がゆっくり進むという性質があり、収穫タイミングを見極める慣れが必要ですが、慣れてしまえば大きな強みになります。収穫期は冬から春(12月〜5月)です。
かおりん
かおりんも埼玉県が育成した品種で、べにたまの親品種にあたります。甘みと香りのバランスが良く、安定した品質で栽培しやすいとされています。県内でも栽培実績が蓄積されており、技術情報や病害虫対策の情報が比較的得やすい点もメリットです。
べにたま
べにたまはかおりんとかおり野を掛け合わせた新しい埼玉県オリジナル品種です。新しい品種だけに市場での差別化がしやすく、これから普及が進む品種として注目されています。
丹羽いちご園でもべにたまを栽培しており、直売・摘み取りでお客様から好評をいただいています。果皮が赤くなったタイミングが食べ頃のサインです。
なぜ県育成品種が補助金と結びつくのか
農業の補助金は「国や県が推進したい方向性」に沿った取り組みに対して交付されるのが基本です。埼玉県はあまりん・かおりん・べにたまの普及拡大を県の農業政策として位置づけており、これらの品種の生産拡大を支援する補助事業を継続的に実施しています。
つまり、県育成品種を選ぶこと自体が、補助金の対象になりやすい農業経営の方向性と一致しているということです。逆に言えば、他県の人気品種だけで経営を組み立てると、こうした県単位の補助金の対象外になることがあります。
新規就農者にとって初期投資はできるだけ抑えたいもの。県育成品種を軸にすることで、設備投資に補助金を活用できる可能性が高まります。
令和8年度「あまかおべにべに倍増作戦展開事業」について
埼玉県は令和8年度、「あまかおべにべに倍増作戦展開事業」という補助金事業を実施しています。あまりん・かおりん・べにたまの生産拡大を目的とした事業で、対象設備への投資に補助金が交付されます。
補助率と上限
補助率は補助対象経費の1/2以内(上限額あり)です。たとえば100万円の設備投資に対して最大50万円が補助される計算になります。新規就農の初期費用を半減できる可能性があり、資金計画に大きく影響します。
補助対象となる設備・資材
以下のような設備・資材が補助対象として挙げられています。
- 育苗ハウス
- ベンチ(高設栽培用など)
- 養液かん水装置
- 遮光資材
いちご栽培を始めるうえで欠かせない設備がほぼカバーされており、実際に活用しやすい補助内容です。
事業実施主体(応募できる人)
この事業に応募できるのは以下の主体です。
- 認定農業者
- 農業法人
- JA出資型法人等
新規就農者がすぐに応募するには「認定農業者」の資格取得が条件になります。認定農業者は市町村に農業経営改善計画を提出して認定を受ける制度で、就農前から準備しておくとスムーズです。
募集期限
令和8年6月5日(金)までが募集期限です。この記事を読んでいる時期によっては締め切りが近い可能性がありますので、早めに問い合わせることをおすすめします。
問い合わせ先
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当部署 | 埼玉県農林部生産振興課 |
| メール | a4130-01@pref.saitama.lg.jp |
| 電話 | 048-830-4142 |
毎年チェックする価値がある
この補助金は今年が初めてではありません。過去にも同様の補助事業が実施されており、毎年あるいは複数年おきに再公募されています。今年の締め切りに間に合わなかった場合でも、翌年度の募集を見越して準備を進めておくことが賢明です。埼玉県農林部のウェブサイトや生産振興課へ問い合わせて、最新情報を定期的に確認する習慣をつけてください。
丹羽いちご園でも県育成品種を栽培しています
丹羽いちご園(埼玉県吉見町)では、あまりんとべにたまを含む5品種を栽培しています。県育成品種を選んだ理由の一つは、まさにこうした県のサポート体制が整っている点でした。
あまりんは収穫量が少なく、栽培初年度は思ったよりも収量が伸びず苦労しました。しかし単価が高いため、少ない収量でも十分な売上になるケースがあります。また、糖度の高さはお客様からの評価に直結し、口コミやリピーターを生みやすいという実感があります。
べにたまは果実の見た目がかわいく、摘み取り体験のお客様に人気です。新品種だからこそ「珍しい」という付加価値もあります。
県育成品種は農業試験場や県の普及指導員からの技術支援も受けやすく、病害虫対策や施肥管理に関する情報収集がしやすいのも利点です。新規就農者にとって「わからないことを聞ける体制」は非常に重要です。
いちご農家になるための具体的なステップ(資格・資金・就農ルートなど)については、以下の記事でまとめています。
いちご農家になる方法|資格・資金・就農ルートを現役農家が解説
まとめ:埼玉での就農なら県育成品種+補助金活用を検討して
埼玉でいちご農家を目指すなら、あまりん・かおりん・べにたまといった県育成品種を軸にした経営計画を立てることを強くおすすめします。その理由を改めてまとめます。
- 高付加価値:特にあまりんは糖度が高く単価を上げやすい
- 補助金対象になりやすい:県の農業政策と一致しているため、設備投資への補助が受けやすい
- 技術支援が充実:県の普及指導員や農業試験場からのサポートを受けやすい
- 差別化しやすい:埼玉のオリジナル品種として地域ブランドとして打ち出せる
令和8年度の「あまかおべにべに倍増作戦展開事業」(補助率1/2以内・募集期限6月5日)は、まさに今年から始める方にとって絶好のチャンスです。まずは埼玉県農林部生産振興課(048-830-4142 / a4130-01@pref.saitama.lg.jp)に問い合わせてみてください。
就農後は農業経営を安定させるためにブログやウェブサイトを持っておくことも大切です。直売・摘み取り集客において、自分のメディアは大きな力になります。サーバー選びで迷っている方には、多くの農家ブロガーが利用しているエックスサーバーが安定していておすすめです。
就農前から情報発信の基盤を整えておくと、就農後の集客がスムーズになります。
いちご農家への道は決して簡単ではありませんが、品種選び・補助金活用・情報発信の3点を押さえれば、着実に経営を軌道に乗せることができます。
就農ルートや心構えについては、以下の記事も参考にしてください。

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