いちご農家になる方法|資格・資金・就農ルートを現役農家が解説

いちご農家になる方法|資格・資金・就農ルートを現役農家が解説

「いちご農家になりたいけど、何から始めればいいかわからない」

そう思って検索しているあなたへ、現役のいちご農家として実体験をもとに解説します。

私は10年前、金属加工・ものづくり関係の前職から転職していちご農家になりました。農業とはまったく縁のない業界からの転身です。失敗も多かったですが、今は埼玉県吉見町で丹羽いちご園を運営し、5品種のいちごを冬〜春(12月〜5月)にかけて育てています。

この記事では、就農を検討している方に向けて「農地確保・資金・資格・就農ルート」を整理しながら、私が就農当初に本当に知っておきたかったことも率直にお伝えします。


目次

いちご農家になるのに資格は必要?

結論からいうと、農業を始めるのに特別な国家資格は必要ありません。普通自動車免許があれば農作業の多くはこなせます。

ただし、以下の点は事前に理解しておくとスムーズです。

  • 農地法の理解:農地を借りたり買ったりするには農業委員会への届出・許可が必要です
  • 農薬使用の知識:適切な農薬の使用には農薬登録の確認や使用基準の把握が必要です
  • 農業簿記:確定申告・補助金申請に必須。就農前に青色申告の基礎を学んでおくと助かります

「資格よりも、お金と経営の知識を先に入れておくべきでした」というのが私の正直な反省です。これは後ほど詳しく触れます。


就農ルートは大きく3つ

1. 研修制度を使う(農業次世代人材投資資金など)

国や自治体が用意している就農研修制度を利用するルートです。認定農業者のもとで2年間研修を受けながら、年間最大150万円の「農業次世代人材投資資金(準備型)」を受け取れる制度があります。

農業の基礎をゼロから学べるうえ、就農後の資金支援(経営開始型)も続くため、未経験者には最もリスクが低いルートといえます。

2. 農業法人・農園に就職してから独立

いちご農園や農業法人に一度就職し、栽培技術と経営の実態を学んでから独立するルートです。収入を得ながら学べる反面、独立のタイミングや農地確保のめどが立ちにくいケースもあります。

3. 人脈・縁を使って直接就農

私自身のルートがこれです。農地は「今借りている家の大家さんのお客さんから紹介していただいた」のが始まりです。農業委員会への届け出は必要でしたが、農地そのものは制度ではなく人の縁でつながりました。

地域に入り込んで顔を売っておくこと、農業関係者の集まりに参加することが、農地確保への近道になることもあります。


農地はどうやって確保する?

農地確保は就農の最大の壁の一つです。主な方法は以下のとおりです。

  • 農地バンク(農地中間管理機構):各都道府県に設置されている公的機関。貸したい農家と借りたい農家をマッチングする制度です
  • 自治体の新規就農支援窓口:市区町村の農政担当や農業委員会に相談すると、空き農地の情報を紹介してもらえることがあります
  • 地域の農家・JAとの人脈:私のケースのように、人づてで農地が見つかることは珍しくありません。地域の農業まつりや研修会への参加が入り口になります

いちごの場合、露地ではなく施設(ビニールハウス)栽培が中心になるため、農地だけでなくハウス設備の準備もセットで考える必要があります。


資金調達の実際|融資と補助金の組み合わせ

就農にかかる初期費用は、いちご農家の場合ハウス建設・設備投資があるためまとまった金額になります。私は融資と補助金を組み合わせて資金を確保しました。

活用できる主な融資・補助金

  • 日本政策金融公庫「農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)」:低金利で長期の農業向け融資
  • 農業次世代人材投資資金(経営開始型):就農後5年間、年間最大150万円を受給できる補助金(認定新規就農者になることが条件)
  • 強い農業・担い手づくり総合支援交付金:機械・施設の導入費用に対して補助が出る制度

ただし、補助金の申請には事業計画書の提出が求められます。「5年後にどれだけ売り上げるか」「経費をどう管理するか」を数字で示す必要があるため、簿記や経営計画の基礎は必須です。


就農当初の失敗談|農業よりお金の知識が足りなかった

栽培技術は研修や実践で身についていきました。しかし就農してみて痛感したのは、農業の知識よりお金の知識が圧倒的に足りなかったということです。

具体的には、

  • 補助金の申請期限を把握できておらず、受け取り損ねそうになった
  • 減価償却の概念がなく、ハウス設備の費用を正しく計上できていなかった
  • 売上はあるのにキャッシュフローが詰まる「黒字倒産リスク」を理解していなかった

農業未経験から就農する場合、栽培の勉強と並行して「農業簿記」「青色申告」「資金繰り」の基礎を学んでおくことを強くお勧めします。

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いちご農家として成功するための「出口戦略」

就農を考えている方に、私が一番伝えたいことはこれです。

栽培も大事だが、出口戦略がもっと大事。

「出口戦略」とは、作ったいちごをどう売るか・いくらで売るか・誰に届けるかを事前に設計することです。

いちごは収穫量が安定しない作物です。豊作でも単価が下がれば収益は上がりません。直売・農園体験(いちご狩り)・ネット販売・業務用卸など、複数の販路を組み合わせる視点が必要です。

また、就農前に5年間の収支計画を立てることも重要です。

  • 1年目〜2年目:売上が立ちにくく赤字が続くことが多い
  • 3年目〜4年目:栽培技術が安定し、固定客・リピーターがつき始める
  • 5年目:損益分岐点を超えて安定軌道に乗る(目安)

この5年間を乗り切るための運転資金・生活費の計算を、就農前に済ませておくことが大切です。計画なしに飛び込むと、2〜3年目の資金難で離農してしまうケースが見られます。

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丹羽いちご園が育てる5品種について

私が埼玉県吉見町で栽培しているのは以下の5品種です。いちご農家を目指すうえで、品種の特性を知っておくことは販売戦略にも直結します。

  • べにたま:埼玉県オリジナル品種。かおりんとかおり野の掛け合わせで生まれた新しいいちご
  • よつぼし:掛け合わせにとちおとめが入っているため、とちおとめに似た味わいが感じられる
  • ベリーポップすず:濃い赤が食べ頃のサイン。酸味がほぼなく、すっきりした甘さ
  • みくのか:ぶどう・桃のような上品な甘さ。大玉品種で存在感がある
  • あまりん:埼玉県オリジナル品種。糖度が非常に高く濃厚な味わい。収穫量は少ないが単価が高い。色の変化がゆっくりなので収穫のタイミングを見極める技術が必要

収穫シーズンは冬〜春(12月〜5月)。品種によって食べ頃の見た目が異なるため、複数品種を扱う場合は品種ごとの管理が重要になります。


まとめ|就農前に準備しておくべき3つのこと

  1. お金の知識を先に入れる:農業簿記・青色申告・キャッシュフロー管理の基礎を学ぶ
  2. 5年収支計画を立てる:売上・経費・生活費・借入返済を含めた長期計画を作る
  3. 出口(販路)を先に考える:どこに・いくらで・誰に売るかを就農前に描いておく

農地確保や栽培技術の習得は、就農してから少しずつ積み上げることができます。しかし、経営の基礎なしに突き進むと、せっかく農業が軌道に乗っても資金不足で立ち行かなくなるリスクがあります。

農業を続けていくための「経営者としての準備」を、栽培の勉強と同じくらい大切にしてください。

丹羽いちご園では、いちご栽培の情報を中心にブログで発信しています。就農を検討している方のご参考になれば幸いです。

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