「なんか今年、いちごの実が小さいな…」「去年より数が少ない気がする…」
4月になってせっかくいちごが赤くなってきたのに、なんだか元気がない。そんな経験、ありませんか?
実は、その原因のひとつがランナーの放置かもしれません。私の農園でも、農家を始めたばかりの頃に同じ失敗をして、収穫量がガクッと落ちた苦い思い出があります。
今回は、4月のいちご栽培でとくに重要な「ランナーの管理」について、プロ農家としての実体験をもとにわかりやすく解説します。初めて育てている方も、何年かやっているけどうまくいかない方も、ぜひ最後まで読んでみてください。
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いちごのランナーとは?まず基本を確認しよう
ランナーってどこのこと?
ランナーとは、いちごの株元から横に伸びていく細長い茎のことです。
別名「匍匐茎(ほふくけい)」とも呼ばれます。春になると気温が上がり、株が活発になると、ひょろっとした茎がどんどん伸び始めます。その先に小さな葉のかたまり(子株)がつき、地面につくと根を張って新しい株になるのです。
ランナーは「いちごが子孫を残そうとしているサイン」です。
自然な働きなので、放っておけば株はどんどん増えていきます。でも、収穫シーズン中の今の時期にそのまま伸ばし続けると、大切な実への栄養が奪われてしまうのです。
4月はランナーが出やすい時期
埼玉県のような関東地方では、4月になると日中の気温が15〜20度を超える日が増えてきます。
いちごにとってこの気温は、「花を咲かせて実をつける」モードから「ランナーを伸ばして株を増やす」モードへ切り替わるスイッチになります。つまり、収穫の最盛期と、ランナーが一番出やすい時期がちょうど重なるのです。
収穫と増殖が同時進行するこの時期こそ、管理がとくに大切です。
収穫中にランナーを放置するとどうなる?3つの影響
①実が小さくなる・数が減る
いちごの株が一日に作れるエネルギーには限りがあります。
収穫中にランナーを放置すると、そのエネルギーが実ではなくランナーと子株の成長に使われてしまいます。結果として、実が小さくなったり、花の数が減ったりします。
私の農園で実験的にランナーを放置した株と、こまめに切った株を比べたことがあります。約3週間後、放置した株の実は平均で2割ほど小さく、収穫数も1〜2割少ない結果になりました。
たった1本のランナーが、これだけ収量に影響するのです。
②株が疲弊して翌年に影響が出る
ランナーを放置すると、子株に栄養を送り続けるため、親株が疲弊します。
いちごは多年草なので、収穫が終わったあとも株を生かして翌年また使うことができます。しかし、収穫中に株が疲れ果ててしまうと、夏を越すための体力が残らず、秋以降の回復が遅れます。翌シーズンのスタートダッシュに影響するのです。
家庭菜園でプランター栽培をしている方は特に注意してください。プランターは土の量が限られているため、株への影響がより大きく出やすいのです。
③病気や害虫が広がりやすくなる
ランナーが伸びて葉が茂ると、株まわりの風通しが悪くなります。
湿気がこもると、うどんこ病や灰色かび病などの発生リスクが上がります。4月は気温の変化が大きく、朝晩の冷え込みで露がつきやすいため、とくに注意が必要な時期です。
ランナーを切るだけで、病気のリスクも下げられます。
正しいランナーの切り方と管理のポイント
収穫中は「見つけたらすぐ切る」が基本
収穫シーズン中(春〜初夏)は、ランナーを見つけたらすぐに切り取ることが大切です。
私は毎朝収穫に回るとき、ランナーが出ていないかも必ず確認しています。少しでも伸びていたら、そのまま株元近くでカットします。「まだ短いから大丈夫」と思って放置すると、次の日には倍の長さになっていることもよくあります。
切るときのポイントは以下の3つです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ハサミを消毒する | アルコールや熱湯で刃を清潔にしてから使う |
| クラウンを傷つけない | 株の中心(クラウン)を避けて根元から切る |
| 切り口は乾かす | 雨天後や湿気が多い日は切り口から病原菌が入りやすいので注意 |
クラウンとは何か?傷つけると大変なことに
クラウンとは、いちごの株の中心にある短い茎の部分のことです。
葉や花茎、ランナーはすべてこのクラウンから生えています。クラウンを傷つけると、株全体が弱ったり、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。ランナーを切るときは、クラウンから少し離れた場所でカットするよう意識してください。
クラウンはいちごの「命の中心」。ここだけは絶対に守ってください。
ランナーを伸ばしてよいのは収穫が終わってから
収穫がひと段落する6月頃になったら、今度はランナーを切らずに伸ばしていきます。
この時期になると株のモードが完全に「繁殖モード」に切り替わります。親株から伸びたランナーの先に子株が育ち、それを新しい苗として秋に植え替えることで、来年のいちごを育てることができます。苗を増やしたい方はこのタイミングを逃さないようにしましょう。
プランター栽培での注意点
スペースが狭いほどランナーの影響が大きい
プランター栽培の場合、地植えに比べて土の量が少ないため、株へのダメージが出やすいです。
私は農園での栽培がメインですが、自宅のベランダでもプランターでいちごを育てています。プランターだと、1本のランナーが出るだけでもかなり株が疲れるのを感じます。特に5号〜6号の小さいプランターでは、週に2〜3回のランナーチェックをおすすめします。
水やりと同時にランナーチェックを習慣にする
ランナーのチェックは、水やりのついでに行うと習慣化しやすいです。
毎日水をあげるタイミングで、株をぐるりと見回してランナーが出ていないか確認する。これだけで大きく変わります。慣れれば1株10秒もかかりません。
「水やりのときに必ずランナーを見る」これを習慣にするだけで収穫量が変わります。
今日からできる具体的なアクション
ここまで読んでいただいた方に、今すぐできる手順をまとめます。
- 今日の午前中にいちごの株を観察する:株元から細い茎が伸びていたらランナーです
- ハサミをアルコールで拭いてから用意する:100均のスプレーボトルにアルコールを入れて携帯すると便利
- ランナーを株元近くでカットする:クラウンを傷つけないよう2〜3cm離して切る
- 切り取ったランナーはすぐに捨てる:病気の株がある場合、切ったランナーから広がることがあります
- 翌日以降も毎日チェックを続ける:1本見つけたら近くにもう1本出ていることが多いです
これだけです。難しいことは何もありません。毎日少しの手間をかけるだけで、収穫量と実の大きさが変わってきます。
農家からひと言:ランナーを切るのはいちごにとって「痛い」ことではありません。むしろ、実に集中できるようにしてあげる「優しいお世話」です。怖がらずに、思い切って切ってあげてください。
まとめ:4月はランナーを切ることが最優先
今回のポイントをまとめます。
- 4月は収穫シーズンとランナーが出やすい時期が重なる
- ランナーを放置すると実が小さくなり、株も疲弊する
- 収穫中は「見つけたらすぐ切る」が鉄則
- 切るときはクラウンを傷つけないよう注意する
- ランナーを伸ばしていいのは収穫が終わった6月以降
いちご栽培で大切なのは、株の状態をよく観察して、その時々に合った管理をすることです。4月の今の時期は、ランナーを切ることが株への最大のプレゼントになります。
ぜひ今日から実践してみてください。
いちごの肥料の与え方や、収穫後の株の管理についてはこちらの記事もあわせてどうぞ。
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